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中位が盛り上げるリーガ・エスパニョーラ覇権争い

リーガ・エスパニョーラ25節で、首位のレアル・マドリードがビジャレアル相手に1-1のドローに終わった。今シーズンはこのようにバレンシア、セビージャ、ビジャレアル、そしてマラガといった中位のチームが3強から勝ち点を奪い、リーガの覇権争いに大きな影響を与えている。 アトレティコ・マドリード、バルセロナ、レアル・マドリードという3強は中位とのゲームで勝ち点を失っている。中位チームのリーガ25節終了時点での昨シーズンと今シーズンの勝ち点を見比べると、今シーズン、バレンシアは18、マラガで16、セビージャが11、ビジャレアルが2ポイント多く手にしている。一方、上位3チームは昨シーズンよりも25節終了時の勝ち点が少ない。アトレティコ・マドリードは6ポイント少なく、レアル・マドリードは2、バルセロナは1だった。 24節ではマラガがアウェーでバルセロナに勝利し、25節ではセビージャがアトレティコ・マドリードと引き分けたりと、3強はチャンピオンズリーグ出場枠の4位、もしくはヨーロッパリーグを争う中位のチーム相手に勝ち点を失っている。 ここ数シーズンはバルセロナとレアル・マドリード、そして昨シーズンはアトレティコ・マドリードと上位のチームだけが勝ち点を伸ばすだけの競争だったが、今シーズンはオーナーが代わり、補強に贅沢な資金を割いたバレンシアら中位が強豪の前に立ちはだかっている。 3強の直接対決よりも、中位チームとの戦いがリーガの覇権争いに大きな影響を与えているかもしれない。

エイバルの小さなホームスタジアム

3月1日に行なわれるリーガ第26節エイバル対アスレティック・ビルバオ。このゲームはエイバルのホーム、イプルアで開催される。アスレティック・ビルバオのサポーター用に割り当てられたチケットは76枚。この日までに実に1,052人がエイバル戦の観戦希望を出しており、2月24日にクラブは抽選を行うという。ちなみにチケットの値段は40ユーロだ。 アウェーチームへの販売が76枚と少ないのは、今シーズンから1部に昇格したエイバルの本拠地が元々小さいからだ。エイバルのホームスタジアムの収容人数は5,250人。同じバスク自治州のダービー・マッチで多くのロス・レオネス(アスレティック・ビルバオのサポーター)が会場に駆けつけたいと考えているだろうが、スタジアムがそれを許容することができないのだ。 イプルアは北側にあるバックスタンドを拡張しようと工事を始めたが、近くにある2つの住居のタワーに亀裂が入っていることが見つかったため、工事はストップする可能性もあるという。 人口3万人にも届かないエイバルを本拠地とするクラブにとって、スタジアムの大きさは今のサイズが適正なのだろう。しかし、レアル・マドリード、バルセロナを始め、多くの強豪チームがやって来るトップカテゴリーのチームにとっては、やはり現在のスタジアムは小さいに違いない。

メスタージャでも見れたアメリカの風物詩

リーガ・エスパニョーラ22節、バレンタインデーの週末にバレンシア対ヘタフェ戦のハーフタイムに1人の男性が愛する女性にプロポーズをした。ピッチの芝生に片膝をつき、求婚したのだ。4万人の観衆はこのカップルの人生の大事な1ページを見届けた。 バレンシアのサポーターであるヘススは、ハーフタイムに自分の恋人であるエステルを連れて、ピッチへ。そして彼女の前にかがみ、結婚を懇願するメッセージが書かれたバレンシアのユニフォームを差し出し、プロポーズした。4万人が固唾を飲んで見守る中、エステルは「はい」と答えた。メスタージャの観衆が大きな拍手を2人はキスをしながら耳にしていた。 アメリカでは、試合中にピッチでプロポーズすることはどのプロスポーツでも行われるが、スペインではあまり馴染みがない。しかし、今後は愛するスタジアムで愛する人にプロポーズすることは増えていくだろう。ただ、お互い違うチームが好きな場合、どこで行うのがいいのかを悩むフットボール好きのカップルも出てくるかもしれない。 バレンシアの幸せはハーフタイムだけでは終わらなかった。ゲームもネグレドのゴールで勝利し、チャンピオンズリーグ出場権を手にする4位に浮上。ヘススとエステルというカップル以外にも、全てのメスタージャの観衆は満足してその日家路に着いた。

話題の政治家の好きなチームとは?

スペインの政治が変わろうとしている。今年は総選挙、そして地方選挙を控え、与党のPP(国民党)などがインターネットやテレビなどで広告スポットを入れてアピールしている。しかし、与党は地方選挙で苦戦を強いられそうだ。世論調査によれば、今最も国民の支持を集めているのは左派政党Podemos(ポデモス)だ。結党してから1年だが、スペインの政権を担っていたPPとPSOE(社会労働党)を出し抜いている。 ちなみにポデモスとは「僕たちはできる、私たちはできる」という意味で英語で言うwe canだ。2008年欧州選手権でフットボールのスペイン代表の試合の放映権を持っていたテレビ局は、「PODEMOS(ポデモス)」とキャンペーンに使っていたフレーズでもある。 ここ数ヵ月、スペインでずっと注目を集めている人物がポデモス党の党首パブロ・イグレシアスだ。36歳の若き党首はテレビ討論番組司会者などで活躍した後に、政治家となった。今スペインで最も注目を集める人物には、もちろんその仕事以外のこともフォーカスされる。 たとえば、フットボールだ。スペインで有名になれば、どのチームのファンだとか、レアル・マドリードとバルセロナのどちらを応援しているのか?などが必ず話題に挙がる。元首相のサパテロはバルセロナを応援し、現首相のラホイは25年以上、レアル・マドリードのソシオだ。もしかしたら、今年が終わる頃にスペインの首相になっているかもしれないパブロ・イグレシアスは一体どのチームが好きなのか? スペインメディアによれば、現在は1部ではないヌマンシアのファンであるという。またマドリード出身であるが、レアル・マドリードは好きではなく、アンチの立場のようだ。なぜならパブロ・イグレシアスはマドリード出身だが、幼少期はヌマンシアが本拠地のソリアで過ごしており、やはり幼少期に応援したチームが自分の愛するチームになったことが推測される。

2大クラブのスタジアム改築競争

カンプ・ノウの全面改修が2017年5月から2021年まで行われ、収容人数が現9万9,000人から10万5,000人に増える予定になっている。このカンプ・ノウの改修プロジェクトは、カタルーニャ語で“スペース、空間”を意味する『エスパイ・バルサ』と名付けられ、カンプ・ノウ周辺も再開発される。 現在2部を戦うバルセロナBの本拠地ミニ・エスタディは、現在バルセロナのトレーニングセンターがあるサン・ジョアン・ダスピに移されることが決まった。新たなミニ・エスタディは収容人数6,000人のスタジアムになり、現在のミニ・エスタディの収容人数1万5,000人の約半分となるが、2,000車分の駐車場が併設される。2017-2018シーズンからバルセロナBは新たなミニ・エスタディを本拠地とする予定になっている。 今ミニ・エスタディがある場所にはカンプ・ノウの横に併設されている体育館が移動する。バスケットボール、ハンドボール、フットサル部門が試合でプレーする場所はカンプ・ノウから歩道橋を渡った場所に移動される。 バルセロナはトレーニングセンターに新たな体育館を建設。バスケットボール、ハンドボール、フットサルといったそれぞれの室内競技のプロスポーツ部門の専用のトレーニングする場を設けた。このようにクラブは選手獲得だけでなく、設備投資もお金をかけている。 レアル・マドリードもサンティアゴ・ベルナベウの改築を発表しており、ショピングセンター、ホテルなどが併設され、クラブの収益は30パーセントの増加が見込まれている。新たなカンプ・ノウはVIP席、プライベートルームを2,000から4,000人収容に増やす予定だ。 スタジアムでも2大クラブの競争が始まっている。現時点では客席全体が屋根で覆われ、なおかつストーブがついているサンティアゴ・ベルナベウがカンプ・ノウよりもより快適に観戦できるのは間違いない。

快進撃の主役はモウリーニョの“操り人形”と揶揄された男

ジョゼ・モウリーニョ監督がレアル・マドリードを率いていた2010-2011シーズンから2012-2013シーズンの間、“スペシャル・ワン”の横に座る第2監督を務めていたのが、アイトール・カランカだった。バスク出身のカランカは、元スペイン代表でアスレティック・ビルバオ、そしてレアル・マドリードでプレー。1997-1998シーズンのチャンピオンズリーグ優勝メンバーのひとりで、クラブに栄光をもたらした名ディフェンダーだった。 カランカはエキセントリックで時にはメディアを敵に回したジョゼ・モウリーニョに代わって、何度も記者会見に出席。指揮官の言われたままに記者会見に出るカランカをスペインメディアが“操り人形”と揶揄することもあった。モウリーニョがレアル・マドリードを退団し、チェルシーへの移籍を決めるとフィジカルコーチ、ゴールキーパーコーチといった彼のスタッフもそのまま籍を移したが、カランカだけはスペインに取り残されてしまった。そんな彼は飼い主に捨てられた犬と評され、哀れだとインターネット上で笑いのネタにされていた。 すっかりモウリーニョの第2監督というイメージが定着していたカランカだが、そのイメージから脱却しつつある。 カランカは2013年11月からイングランド2部のミドルスブラを監督として率いている。昨シーズンこそ12位で終わったが、シーズン最初から指揮をとる今シーズンは、プレミアリーグ昇格に向けて順調な戦いを見せている。2部では2位につけ、そしてFAカップでは4回戦で現プレミアリーグ王者のマンチェスター・シティに勝利し、カップ戦の醍醐味である下克上を達成している。 カランカは地元紙『エル・パイス』のインタビューでこう語っている。「僕のスタイルはモウリーニョのものか…? 私の監督のスタイルは勝利だ。選手たちがその監督といることを好むのは、監督が毎日何かを選手たちに教えているからだ。そして選手たちは毎試合、監督に何かを与えてくれる。私はそれを達成しているし、これ以上、今のチームに要求するものはない。私は私であり、41年間そうだった。だけど、今まで一緒に仕事をした全ての監督から学んできたことも確かだ。もちろん、モウリーニョからも学んだ。自分がモウリーニョの弟子と人々に呼ばれることは不快ではないし、喜びだ。多分モウリーニョにとってもそうだと思う」 カランカとモウリーニョは今でも連絡をひんぱんに取り合う仲で、マンチェスター・シティ戦を戦う前にはモウリーニョから情報を教えてもらっていた。また反対に、モウリーニョがカップ戦で下のカテゴリーのチームと戦う時はカランカが彼の求めに応じて協力している。またモウリーニョはチェルシーに在籍する3選手を成長させるためにカランカが指揮するミドルスブラにレンタル移籍させており、指導者としてもカランカを信頼している。 カランカは操り人形ではない。モウリーニョにとっては尊敬するひとりの同業者なのだろう。ミドルスブラの快進撃が続けば続くほど、モウリーニョの“操り人形”というイメージは、“監督カランカ”という画に描き変えられていくだろう。

市長の息子がエルチェのトップチームデビュー

15日にコパ・デル・レイ5回戦セカンドレグでバルセロナと対戦したエルチェ。試合の勝敗はすでにファーストレグの90分で5-0とバルセロナが勝利したことで決着はついていた。バルセロナは、バルセロナBの選手を6人連れて行くなど完全にリラックスムード。その様子は試合中のルイス・エンリケ監督を見ればよく分かった。ベンチ後ろに座るピケやラキティッチと冗談を言い合うなど、普段のベンチとは全く様相が違った。アウェーでの第2戦もバルセロナが4-0で完勝したゲームで、エルチェではひとりの選手がトップチームの公式戦デビューを果たしていた。この日の右サイドバックで先発出場を果たしたペラルだ。 背番号36をつけたペラルは、現在エルチェのサテライトチームに所属しており、この日はトップチームの一員としてプレーした。ペラルは、同クラブの本拠地の現女性市長メルセデス・アロンソの息子だ。母親は自身が市長の時に息子が本拠地のフットボールクラブのトップチームの一員としてプレーするとは想像もしていなかっただろう。市長はマルティネス・バレーロを訪れ、自分の夫、そしてペラルの2人の兄弟と貴賓席から息子のデビュー戦を楽しんでいた。 ペラルは1992年3月6日生まれのエルチェ出身だ。彼はキャリアを地元のケルメFCでスタートさせた。アトレティコ・マドリードのスペイン代表フアンフランがキャリアをスタートさせたチームだ。また、このクラブでは現在、バルセロナのラフィーニャ、そしてバイエルン・ミュンヘンにいるチアゴというアルカンタラ兄弟と同じ時期に同じユニフォームに袖を通していた。 エルチェはトップチームの選手や監督だけではなく、クラブの従業員にまで給与の未払いが続いていた。負債を多く抱える地元クラブに対して、メルセデス・アロンソ市長はクラブの運営を心配する声明を出していた。そのコメントには母親として息子を心配するという気持ちも含まれていたのかもしれない。

ジエゴ・アウヴェスは歴代最高のPK職人

バレンシアに所属するブラジル人ゴールキーパー、ジエゴ・アウヴェスが18節セルタ戦でオレジャナのPKをセーブした。ジエゴ・アウヴェスにとって、リーガで14本目のセーブとなった。このセーブ数はここ25シーズンのリーガで最多記録となる。これまでは現役時代にバレンシアで活躍したサンティアゴ・カニサレスが13本で最多だったが、ブラジル人ゴールキーパーがその記録を塗り替えた。実に、42,42パーセントと脅威のPKセーブ率を誇る。 セーブ数で言えば、最近バルセロナを退団したスポーツディレクターのアンドニ・スビサレッタが現役時代に16本のPKをセーブしているが、彼は102本のうち16本しかセーブしておらず、セーブ率は15,68%と圧倒的に低い。 リーグだけでなく、全ての公式戦を含めるのならば、ジエゴ・アウヴェスは37本のPKのうち17本をセーブ。アルメリア在籍時に18本のうち10本、バレンシアでは19本のうち7本をセーブしている。今シーズンはアトレティコ・マドリードとのホームゲームでシケイラのPKをセーブしている。また、これまで公式戦でジエゴ・アウヴェスはメッシ、カヌーテ、クリスティアーノ・ロナウド、ジエゴ・コスタ、ラキティッチと名手のPKをセーブしてきた。 「PKセーブといえば、ジエゴ・アウヴェス」。スペインで彼の名前はそう歴史に名を残すだろう。タイトルをとらなければ、現時点ではPK職人止まりだ。新オーナーがやって来てから、戦力補強に力を入れるバレンシアがもし今後タイトルを獲得し、その時にこのブラジル人がゴールマウスにいたら、彼はカニサレスと同じようにバレンシアのレジェンドとなるだろう。

選手、監督だけではないフットボール

国王杯ベスト16・ファーストレグでレアル・マドリードに完勝したアトレティコ・マドリード。ピッチ脇のテクニカルエリアではゴールの後に、ボールボーイのビブスを着た少年がディエゴ・シメオネ監督に抱きついていた。しかし何を隠そうこのボールボーイは指揮官の息子だった。家族でゴールの喜びを分かち合っていた。得点に親子で熱狂するこのシーンは何度もニュースでも流れていた。 だが、シメオネのもうひとりの息子は全く違った形でメディアに取り上げられている。父親のチームの勝利を自身のツィッターで祝福したが、その投稿内容は冗談が行き過ぎて、ライバルチームを挑発するものになってしまった。すぐさまシメオネの息子、ジャンルカは自身の誤りを認め、謝罪した。 ソーシャルネットワークが発達し、個人がフェイスブックやツィッター、インスタグラムでそれぞれが意見、感想など自由に表明できる時代になった。今までは公にならなかった選手、監督の親族のコメントまで注目されるようになった。もし純粋にひとりの熱狂的なファンで試合の感想をコメントしていても、選手や監督に親しい関係者というだけでメディアに取り上げられ、小さいなことも大きくされてしまう。 ここ数日のメッシのチェルシーの移籍に関する報道もそうだ。移籍の重要な要員としてセスクとメッシのパートナー同士が仲がいいので、それも大きな後押しとなると伝えられた。セスクのパートナーがインスタグラムで「いいね!」をしただけでニュースになる。 便利で、世界中の誰とでも瞬時にコミュニケーションや連絡ができ、近況を共有できるようになったが、注目を集めるフットボール選手の家族や恋人にとっては投稿ひとつも気を抜けない世の中になっている。そのうち、選手や監督だけでなく、その家族にもソーシャルネットワークの利用術といった講習会がシーズン前にクラブから行われるようになるのだろう。

スペイン代表で活躍したカタルーニャ人の率直な気持ち

2014年はカタルーニャ州のスペインからの独立への動きが大きく取り上げられた年でもあった。カタルーニャ自治州政府は住民の意識調査という名目で住民投票を行った。結局、投票率は低く、住民の意識を読み取れるようなデータにはならなかった。また住民投票の実施の過程で中央政府と交渉し、憲法裁判所で住民投票の実施は公式には認められなかった。そういった動きはスペインはもちろん、世界からも少なからず注目を集めていた。 そんなカタルーニャの独立について、カタルーニャ出身のシャビ・エルナンデスが地元誌『エル・パイス・セマナル』で率直に語っている。シャビはご存知のようにバルセロナだけでなく、スペイン代表でも中軸として活躍。スペインにワールドカップ、欧州選手権をもたらした。スペインの国旗を代表して戦っていた選手だ。 インタビューの中で、「君はスペイン代表でタイトルを勝ち取った時のセレモニーで『スペイン万歳!!』と叫んでいたけど…?」という質問にシャビはこう応えた。「自分が感じたことを言ったんだ。同じように僕らに多くのことを与えてくれたスペインのフットボール、代表チーム万歳、とも言いたかったよ」 記者はこうも尋ねた。「思わず『スペイン万歳!!』『カタルーニャ万歳!!』と同時に叫ぶ。問題はないですよね。そう思わないですか?」するとシャビはこう答えた。「そうだね。僕は11月9日に投票に行った。カタルーニャにとって大事な1歩だと考えていた。僕たちは(独立を問う)公式で合法的な投票を申請していたし、彼らは僕たちにその許可を与えるべきだった」 シャビはカタルーニャとスペインの関係をこう例えている。「とても単純なことだ。友だちが君に電話をしてきて気分が悪いと言う。だが君は(何も言わずに)電話を切る。それがカタルーニャとスペインで起きたことだ」。つまり、シャビはカタルーニャはスペインの中央政府に対して「投票を必要としていたし、それを聞いて、理解して欲しかった。ただそれだけだ」と話している。 サッカー選手がここまで踏み込んで政治のことを話すのは珍しい。それはスペイン代表にも大きな貢献をし、そして代表引退したシャビだからこそできた発言だったかもしれない。

バスク対カタルーニャ、政治とスポーツは密接な関係

12月28日にサン・マメスで親善試合が行なわれる。バスク代表がカタルーニャ代表を迎えるゲームは満員になりそうだ。チケットが発売されて最初の3日間ですでに2万枚以上が売れており、すでにサン・マメスのスタンドの40パーセントが埋まる計算になると地元メディアでは報道されている。チケットが20~25ユーロ(約2,950~3,700円)と安く設定されていることもあるが、売れ行きは好調だ。 近年は国内経済の危機もあり、スペインでは各自治州の独立の機運が高まっている。特にフランコ独裁体制時に言語や文化への弾圧を受けたカタルーニャ、バスクは他に比べ独立意識が高い。カタルーニャ州は今年11月9日に民意調査ということで住民投票が行われた。投票率は35パーセントと低くかった。意識調査なので独立を支持する人だけが投票にかけつけた可能性は否めないが、8割が独立を支持するものだった。元バルセロナのグアルディオラ監督がドイツから駆けつけた姿やバルセロナのディフェンダー、ピケが投票する姿はメディアで話題となった。 今シーズンの9月13日に行われたリーガ3節ではカタルーニャ州を代表するバルセロナとバスク州を代表するアスレティック・ビルバオがカンプ・ノウで対戦。バルセロナはホームゲームにも関わらずカタルーニャ州旗をモチーフにした昨シーズンのセカンドユニフォームでプレー。アスレティック・ビルバオもバスクの州旗の基本色となる緑色のセカンドユニフォームでプレーした。まるでカタルーニャ対バスクといった風情だった。 12月28日にはそれぞれの地域を本拠地とするクラブチームではなく、選抜チーム同士が対戦する。独立意識が強い地域同士の対戦が、独立意識が強い地域で行われるのだ。チケットの売れ行きが好調なのも当然だ。しかし、なぜ本気でもないこの試合のチケットがこんなにも人気があるのか。目的がもはやスポーツ観戦でないことは明確だ。スポーツは政治と切り離して考えるべきだとよくいうが、それは理想に過ぎない。「クラブ以上の存在」というバルセロナのスローガンを見ても分かるように、政治とスポーツは切り離すことができない。

ラージョ・バジェカーノ、立ち退きの女性を支援

リーガ・エスパニョーラ1部のラージョ・バジェカーノのパコ・ヘメス監督は、11月22日の記者会見でトップチームのメンバーおよびテクニカルスタッフが地元住民の85歳の女性を経済的に援助することを発表した。 カルメンはラージョ・バジェカーノを本拠地とするマドリードのバジェカス地区に住む85歳の女性だ。彼女は50年住んでいた自宅から立ち退きを宣告された。彼の息子が70.000ユーロ(約1千万円)のローンの保証として、母親の住居を抵当に入れていた。息子はローンを返すことができず抵当に入った住居は競売されることになり、彼女の住居のオーナーが裁判所に訴えていた。裁判所は11月21日にカルメンに立ち退きを執行した。しかし、カルメンは自分の住居が抵当に入ったことを家族から知らされておらず、数ヵ月前に裁判所の通告書で知った。彼女は最低限の年金を受け取って生活しており、健康にも多くの問題を抱えていた。 自分たちの本拠地とする街に50年も住んだ人が困っている。このニュースを知ったラージョ・バジェカーノのメンバー、テクニカルスタッフ、そしてクラブは、彼女を助けるために経済的援助をすることを決めた。また、クラブも動き出した。ラージョ・バジェカーノは7日に行われたリーガ・エスパニョーラ14節セビージャ戦で寄付を募り、15.025ユーロを集めた。この額はカルメンを支援するために創設された口座に入金された。また、この金額以外にも前記したようにトップチームが経済的支援を準備をしている。 フットボールクラブが本拠地の地元住人を手助けする出来事として、スペインでは好意を持ってこのニュースが伝えられている。

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