Mes: marzo 2012

カタルーニャの超人ランナー、自伝が欧州でベストセラーに

世界で誰よりも速くピレネー山脈、モンブラン、キリマンジャロを走り抜け、今もなお世界記録を更新し続ける24歳の“超人”ランナーの自伝が、欧州でベストセラーとなっている。著者は、サバデイ(バルセロナ)生まれのトレイルランナー、キリアン・ジョルネット。昨年3月にカタルーニャ語で出版された彼の自伝「Córrer o morir (走るか死ぬか)」は、発売わずか4カ月で第5刷とベストセラーを記録し、昨年7月にはスペイン語版、8月にはフランス語版が出版された。すでにイタリア、ポルトガル、ポーランド語にも翻訳され、スポーツ部門のベストセラーランキングにランクインしている。 北米、欧州では人気が上昇しつつあるものの、スペインでは依然としてマイナースポーツであるトレイルランニング(舗装されていない道を走る競技)。ロードレースでさえしんどいのに、わざわざ山の中を走るなんて…と首をかしげる人も多いことだろう。ところが、ピレネーの自然に囲まれて育ったキリアン少年が世界の頂点に立つまでのストーリーが一人称で語られる本書は、アスリートのみならず一般読者のハートもたちまち虜にしてしまった。美しく過酷な自然の中で“限界”に挑戦する著者の姿勢とたゆまぬ努力が、不況にあえぐ現代社会への“応援歌”として人々の心に響いたのかもしれない。 今をときめくFCバルセロナの主将カルレス・プジョル選手も、「克服へのインスピレーションと計り知れない精神力で、クレイジーにスポーツを愛する人間。この本を読んでそんな奴が本当にいることを知った」と推薦するこの自伝。読後、重い腰を上げて、無性に何かを成し遂げたくなる一冊だ。

F1界にも不況の影 カタルーニャサーキット隔年開催へ

カタルーニャからF1が消えたら...。ここ半年間、カタルーニャのモータースポーツファンを悩ませていたこのテーマに、ようやく暫定的な回答が出た。F1運営組織のCEOバーニー・エクレストン氏は3月8日、これまでモンメロー市(バルセロナ)とチェステ市(バレンシア)で毎シーズン行われていたグランプリについて、「2013年以降は各サーキットで1シーズン1度の交互開催で合意の方向」と発表したのだ。正式合意までにはまだ時間を要しそうだが、両サーキットは交互開催に前向きな姿勢を示している。 カタルーニャ州自治庁は昨年6月、今年いっぱいでモンメローサーキットにおけるF1開催が停止される可能性をほのめかしていた。理由は「不況」。州予算削減により、モンメローでの大会開催補助金に充てられていた予算が25%カットされたためである。州はこれまで、観客不足による赤字の80%を補てんしていたが、今後はこの補てんを中止する構えを示している。市民にとって最優先であるはずの医療、教育現場で予算が次々と削減されるこの不況下、「サーキットの赤字補てんをしている場合ではない」というわけだ。 交互開催に関する合意が発表されたとはいえ、モンメローサーキット、チェステサーキットの契約はそれぞれ2016年、2014年まで。今後の状況次第では、F1開催が厳しくなる可能性も十分ある。モンメローサーキットのスポークスマンは、F1存続のカギをにぎるのが「観客動員数」と指摘している。サーキットが満員になれば、補助金カットによる痛手も軽くすむからだ。開催サイドは早速、フリーパスや割引チケットなどの発売で観客増加を図っている。モンメローでの次回グランプリは5月13日。観客数が10万人を超えるかどうかに注目が集まる。