リーガは23日に開幕したが、移籍市場は8月31日まで開かれている。8月31日の24時になるまで大きな動きがあってもおかしくない。特にバルセロナは、2015年の1月と夏の移籍市場で新たな選手を獲得することができないため、さらなる戦力補強をこの残り約1週間で急ピッチで進めるかもしれない。
この夏は、スペインのクラブが選手を獲得するために、ここ10シーズンで2番目に多く移籍金を使ったシーズンとなった。今夏は、これまでのところ、リーガ1部は合計で4億5800万ユーロ(約629億円)を補強に費やしており、この額は2007-2008シーズンの夏の5億3900万ユーロ(約740億円)に次いで高額だ。ただし、その移籍金のほとんどはレアル・マドリード、アトレティコ・マドリード、そしてバルセロナの3チームが占めており、それぞれ約1億1800万ユーロ(約162億円)を投資し、戦力強化を図っている。しかし、その3チームの間でも経済的な格差があり、アトレティコ・マドリードのシメオネ監督の「私たちは9500万ユーロ(約130億円)を使い7、8人の選手を加えたが、彼ら(レアル・マドリード)は2人だ」というコメントがそのことを端的に示している。
2007-2008シーズンはスペインの経済が好調な時でバブル真っただ中だったが、翌年の2008-2009シーズンは経済危機の影響がもろに反映されており、全チーム合わせて2億1900万ユーロ(約300億円)だった。
経済危機は今も続いており、上記した3強以外は、セビージャの2000万ユーロ(約27億円)と新たなオーナーであるピーター・リムのバレンシアが3000万ユーロ(約41億円)を投資しようとするくらいで、ここにビジャレアル、レアル・ソシエダが加わるくらいだ。リーガで8チームは移籍に100万ユーロ(約1,3億円)以上、投じていない。また今シーズンはクラブの財務を管理し、破綻せないようにLFP(スペインプロリーグ機構)が財政コントロール法で予算の上限を取り締まっており、そのことも大きく影響している。
各クラブの予算をみていくとその経済的な差はもっと顕著だ。レアル・マドリードが5億2000万ユーロ(約714億円)でトップ。次にバルセロナが5億900万ユーロ(約699億円)、アトレティコ・マドリードが1億4600万ユーロ(約200億円)だ。次にバレンシアで1億1400万ユーロ(約156億円)、セビージャで8000万ユーロ(約109億円)となり、最も低いエルチェは1600万ユーロ(21億円)だ。このようにリーガは2大クラブの予算が図抜けており、各チームとの経済的な格差が圧倒的だ。最下位が上位2大クラブに勝つなんていう奇跡はまず起きることがなく、この数字を見ればレアル・マドリードやバルセロナが大量得点で勝利するゲームがあることがよく分かるはずだ。
経済格差が決してチーム力の差にそのままなるわけではないが、経済力は重要だ。この格差がなくならないかぎり、2大クラブにアトレティコ・マドリードやセビージャ、バレンシアが挑むというリーガの構図はずっと変わらないだろう。