22チームがリーガ1部昇格を争う2部が大激戦だ。25節終了時点で首位から最下位までの勝点差が15ポイント。5位のルーゴから最下位のレアル・マドリード・カスティージャの勝点差は10ポイント。毎節、降格圏内にいる4チームが全て入れ替わるほど均衡している。そんな激戦が続く2部で現在の首位を走るのが、エイバルだ。エイバルは今シーズン2部Bから昇格したばかりだが、大躍進を見せている。
エイバルの本拠地は、バスク州・ギプスコア県にある人口2万7,000人の小さな町だ。ホームスタジアムのイプルアの収容人数も町の規模同様小さく、5,600人。今シーズンの年間予算は350万ユーロだ。1部、2部の全42クラブのなかで、ホームタウンの人口、およびスタジアムの収容人数が最も少なく、年間予算も最も低い。もしこのまま首位を維持し1部に昇格するとなれば、来シーズンの予算は今の3倍は必要になると推測されており、1部昇格時には経済面に不安を抱えてしまうかもしれない。
指揮官は、現役時代はレアル・ソシエダなどで活躍したミッドフィルダー、ガイスカ・ガリターノ。エイバルにも5シーズン、選手として所属していた。38歳の青年監督はエイバルを率いて2シーズン目。昇格したばかりのチームを昇格争いさせるなど、その手腕は高く評価されており、将来はきっと大きなクラブを率いるだろうと言われている。
エイバルは小さなクラブだが、数多くのスペイン代表選手が若い時に在籍し、自分の能力を磨いた。最近では、チャビ・アロンソが19歳の時に半シーズンプレー。また、ダビド・シルバも18歳の時に在籍していた。“奇跡”と評されるほど躍進するエイバルだが、今いるメンバーからも将来のスペイン代表を支える名手を輩出するかもしれない。若手の修行の場としても実績があるエイバルは、1940年に創設された。しかし、約75年の歴史の中でいまだに1部に昇格したことはない。今シーズン、クラブ史上初めての偉業達成なるか。シーズン後半戦、奇跡のチームからますます目が離せなくなるだろう。