スペインの栄光はカンテラから

コンフェデレーションズカップではフル代表は優勝候補だ。現世界王者かつ欧州王者なのだからそれも当然だ。彼らの下の世代であるU-21代表も優勝候補として6月5日にイスラエルで開幕した欧州選手権に挑んでいる。U-21にはバルセロナのチアゴ・アルカンタラを筆頭に、今夏のビッククラブへの移籍が確実視されるイスコ、アスレティック・ビルバオのムニアイン、バレンシアのカナーレス、マンチェスター・ユナイテッドのゴールキーパー、デ・ヘアなどタレントが揃っている。また彼らのほとんどは前大会の優勝メンバーでもある。欧州の各クラブにすれば、スペインの高級百貨店のショーウィンドウと言えるかもしれない。  

スペイン代表のニックネームは「ラ・ロハ(La Roja)」。ユニフォームカラーの「高貴な赤」の意だ。世代別代表は「ラ・ロヒータ」と呼ばれ、「小さな高貴な赤」と意味を持つ。世代別代表の活動にそんな関心は高くないがスペイン国民は彼らが重要であることを実感している。というのも、今のフル代表の詠歌があるのも下の世代の代表活動がベースとしてあるからだ。カシージャス、シャビは1999年のナイジェリアで開催されたワールドユース大会で優勝したU-19スペイン代表の一員だった。セスクがいたU-17は2003年に世界選手権を優勝。その後、セルヒオ・ラモスがいたU-19代表は2004年欧州選手権を優勝。このようにスペインの下部組織は数々のタイトルを制覇し、今のフル代表の栄光の礎を築いている。ゆえに2010年のワールドカップ制覇は振り返ってみれば1999年の成功に始まったという見方もある。下部組織、カンテラの成功なくして、フル代表の成功はないとスペイン人は考えているのだ。  

タレントが揃い「黄金世代」とまで形容される現在のU-21代表は欧州選手権初戦、ロシアを相手に1-0で勝利した。将来のフル代表で主軸となるであろう彼らはどんな結果を残すのだろうか。リーガは閉幕し、人々は移籍話やフル代表の活動を注視しているが、頭の片隅ではU-21代表のパフォーマンスも気にしている。

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