バレンシア監督のオフの顔はフォトグラファー

昨年11月初旬からバレンシアの監督に就任したエルネスト・バルベルデ。現役時代は元スペイン代表のフォワードでバルセロナでプレーした名手で、監督としてはアスレティック・ビルバオ、エスパニョール、ギリシャのオリンピアコス、ビジャレアルなどを歴任。特にエスパニョールではUEFAカップ決勝に導くなどその手腕は高く評価されており、前半戦は低調だったバレンシアの建て直しにも期待が寄せられている。  

そんなフットボールのチームの監督だが、彼には“フォトグラファー”としての側面もある。バルベルデはバレンシアの最初の就任会見の時にチームをこんな風に表現している。 「今は写真が少しボケている。もっとピントを合わせなければいけない。」  

彼は昨季までギリシャのオリンピアコスを指揮し、数々の写真を撮った。…ピッチの雨が降っているところ。誰もいない落書きだらけのスタンド。ロッカールームでスーツを着て、床を見つめるコバチェビッチ。サングラスをかけたアルジェリア代表のジョエブール。…被写体はスタンドであったり、時には選手であったりする。そんな彼のギリシャで撮った写真は『Medio Tiempo』というタイトルで刊行されている。

「私は好奇心の強いタイプで、いろんなものを見るのが好きなんだ。いつも、誰もみたことがないアングルと、誰も見たいことがないものを探している。」    

これが彼の写真のポリシーだ。バルベルデの写真は白黒だ。
「白黒は見ている人にもっと訴えかけるものがあるし、詩的でミステリアスな要素持っている。」  

バルベルデは現役時代に移籍した頃、母親に「引退後のことを考えろ」と言われ、写真科に通い始めた。しかし、合宿で写真を撮っていたある日、当時エスパニョールの監督だったハビエル・クレメンテに「フットボールだけに集中しろ」と怒鳴られたという。  

趣味、嗜好は人それぞれ。ただサッカー監督が“フォトグラファー”なんてなかなか想像できない。

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