2部にいるビジャレアルの現在

昨季、最終節18位となり、2部への降格が決定してしまったビジャレアル。  

昨季はシーズン中に負傷者が11人となり、フォワードが1人しかいないという状況になり、またUEFAチャンピオンズリーグではマンチェスター・シティ、ナポリ、バイエルン・ミュンヘンと同居する“死のグループ”に入り、1勝もできず。十字靭帯断裂から復帰したばかりのイタリア代表のロッシがトレーニング中にまたも十字靭帯を断裂してしまうという不運もあった。リーガではそんな序盤の極度の不振から最後まで立て直すことができず、降格。カルソラを売却しなければならないなど、クラブ予算が縮小され、負傷者続出という不運もあったが、まさに二兎追うものは一兎も得ずを体現してしまったのが昨季のビジャレアルだった。  

2部に降格したチームは昨夏にイタリアのフィオレンティーナへ籍を移したボルハ・バレーロを筆頭に、アルゼンチン人のゴンサロ、ディエゴ・ロペス、ブラジル代表のニウマールら主力が退団。新監督に決定していたマヌエル・プレシアードが心臓発作によって急死。急遽、ビジャレアルBを指揮していたベラスケスがトップチームの監督に就任し、2部での戦いに挑むことになった。  

全42節の2部リーグは19節を消化し、ビジャレアルは5位。3チーム(その内上位2チームは自動昇格、3~6位はプレーオフで残り1枠を争う)が昇格する2部において、首位と勝点差14もつけられるなど決して順調とはいえない。クリスマス休暇を前に会長ロッジ、監督のベラスケスが「あくまでも目的は1部昇格」と発言し、後半戦の巻き返しを誓い、選手たちも「サポーターにとって、最高のクリスマスプレゼントは1部昇格だ」と地元紙に語っていた。ロッジ会長は1部昇格に向けて「冬の移籍市場で補強する」と明言。レバンテを退団していた元スペイン代表の34歳のべテラン、ファリノスをトライアウトした後にサインし、ビジャレアル下部組織出身のジョナタン・ペレイラをベティスからシーズン終了までレンタル移籍で契約することを発表。会長の言葉どおり、ビジャレアルは昇格に向けて着実に戦力を上積みしている。  

ただ地元のファンは不安と不満を抱えている。マルコス・セナ、ブルーノ・ソリアーノらスペイン代表経験者に、アルゼンチン人ストライカーのカベナギ、ウルグアイ人ストライカーのパンディアーニらが在籍する。2部において、その選手層は豪華で、首位を独走しなければならない陣容だと彼らは口々に言う。メンバーはいるのに、思うように勝点は伸ばせない。ロッジ会長は「監督への信頼は変わらない」と公言するが、サポーターは現監督の采配、指導力に疑問を抱いているようだ。また、戦力を後半戦も維持できるのか、というのもサポーターの疑念もある。リハビリ中のロッシやブルーノ・ソリアーノには連日、移籍の噂が絶えないからだ。

「最高の後半戦にしなければならない」とロッジ会長は地元紙に語っていたが、果たして1シーズンでのビジャレアルの1部への帰還は叶うのだろうか。

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