スペイン人の余暇の過ごし方を調査したスペイン信用金庫財団によると、スペイン人は1人当たり1日平均234分もテレビを見ているという。そんなスペイン人にとっての最大の娯楽でもあるテレビが消えてしまった村がある。
マラガ県にある人口わずか1700人足らずのベナオハン村は、毎週末行われるリーガ・エスパニョーラの試合の時にも、試合を放送するバル(バー)がいっぱいになることはない。なぜならテレビが映らないからだ。
というのも、テレビ信号や電力を同村に供給する会社が、村役場の20万ユーロ(約2,160万円。1ユーロ=108円で計算)の借金を理由に、同村への信号配信を停止してしまったからだ。さらに追い討ちをかける様に、この会社は同村の公共施設への電力供給の一部をも断ってしまっており、村民の生活にも多大な影響を出している。
一方で、ベナオハン村のフランシスコ・ゴメス村長は、2005年以降、電力会社からの請求書が一切届かなかったこと、またテレビ信号や電力の供給がストップされる前になんの通達もなかったことを理由に、地方裁判所に同会社を提訴している。しかし、裁判で判決が下されるまでには少なくとも3ヶ月は掛かると言われており、村人がテレビを見ることができない日々はさらに続くものとみられている。
地元メディアのインタビューに応じた村人は言う。「我々は税金を払っているのに、村役場と電力会社のいざこざでテレビすら見られない。こんな田舎でテレビ以外の楽しみなどないのに。いつだって犠牲になるのは庶民の我々だ」
ベナオハン村のバルが、サッカー観戦の村人でいっぱいになる日はいつになるのだろうか?