カモメの糞がシエス諸島唯一の植物を生成

以前、スペイン北西部ポルトガルとの国境に近いビーゴ沖に浮かぶ『シエス諸島』(希有な海鳥の生息地として州の自然公園に指定されている)についてご紹介したが、この諸島ともう一つの指定公園である『オンス諸島』には、2種類のキク科の植物が世界で唯一存在しており、その存在が、同諸島に生息するカモメと大きく関係しているとビーゴ出身のショセ・ルイス・オテーロ氏が指揮を執るサンティアゴ大学の研究チームが発表した。

各諸島にはカモメが大量かつ密集して生息しており、このカモメの糞尿や羽、ヒナの屍骸などに含まれるリンや窒素が、生物地球化学循環において断崖地域の土を肥やし、他の場所では見られない植物の生成に影響しているという。

スペイン政府環境省の予算の下、年初に開始したこの研究では、島の水質に与える影響を調査し、最終目標はカモメの排出物等が影響して発生した島の植物全ての種類と生息地の把握、そのサイクルを全貌解明することである。

一方、これらの植物が生息するシエス諸島の土壌からは、島から最も近い内地のポンテベドラ県オメ岬の土壌の50倍もの濃度のリンが検出されていて、これ以上土壌がリンを吸収することは出来ないという。雨によって流されたリンなどの元素が海水に与える影響や、何故カモメの数が増加したのかについてはまだ解明されていない。

参考:シエス諸島に生息するカモメの数(つがい)
1976年 4237羽, 1981年11441羽,1991年22220羽,現在 18500羽

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