スペイン人の間で広がるドイツ人への反感

スペイン人は歴史的出来事を持ちだしては、イギリス、フランス、アラブ系近隣諸国の悪口を言います(もちろん冗談で、本気ではありません)。ドイツとは直接戦争で戦った歴史がないせいか、今まで悪い冗談はあまり聞いたことがありませんでした。しかし最近スペイン人の間でドイツへの反感が広がっているようです。

ドイツへの反感というより、アンゲラ・メルケルへの反感と言うべきかもしれません。確かに最近のアンゲラ・メルケルのスペインへの発言は容赦ありません。まさにEU優等生ドイツが劣等生スペインにどうやって勉強するべきかを教えているかのようです。

アンゲラ・メルケルの“親切な助言”-辛辣なコメント

生産性の低さ、生産性が上がらない限りお給料を上げるな。 収入より多く消費するな。 スペイン人は休みが長すぎる。ドイツ人と同じだけ休むべきだ。 仕事のないスペイン人若者にドイツでの仕事を提供してもいいよ。

これを親切な助言とみるか、内政干渉とみるか。ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの件もありEUの存続を危惧するあまりの発言なのでしょうか。スペイン人の中にはドイツ、フランス等のEU優等生諸国が自国の利益の為にEUを利用していると反感を持つ人もいます。また、単にお給料を上げるな、休みを減らせと言われて面白くないと反感を持つ人もいます。E.Coliのスペイン産キュウリへの濡れ衣事件で、スペインの農業へ多大の被害をもたらした事実もドイツへの反感を助長しました。今後のEU諸国間の関係が気になります。

こんな話をしている時に、スペイン人の友人は頭をかしげて問いかけました。何故スペインは経済面でいつまでたっても劣等生なのだろうか。投資不足や様々な要因が話し合われていますが、表面的な問題の裏には、フランコ時代による資本主義システムの発展の遅れ、North-South Divide問題*1なども関係しているのでしょうか。スペイン人の苦悩はまだまだ続きそうです。

*1.北半球の諸国は、南半球の諸国に比べ経済的に発展している傾向がある。ウィキペディアの地図によるとスペインは北半球の経済的に発展したエリアに入っているがドイツ、フランス、イギリスより南に位置する。

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