ルーカス・ペレスのデポル帰還を最も望んでいた少年

9月1日24時に夏の移籍市場が閉まった。今夏はネイマールのバルセロナ退団が大きな騒動となったが、毎年この時期には、ピッチでボールが動いていないのに多くのドラマが生まれる。

例えばガリシア州ラ・コルーニャではこんな事があった。主役はマテオ・パルドくん、7歳の男の子だ。ゆりかごにいる頃からデポルティーボ・ラ・コルーニャのサポーターである彼は、7月2日から開設したツイッターのアカウントで、イングランドのアーセナルでベンチ生活が続くルーカス・ペレスの古巣の帰還を願い、選手のアカウント(@LP10oficial)をつけてツイートしていた。

ルーカス・ペレスは、ラ・コルーニャ出身のフォワードで、2015-2016シーズンにはデポルティーボ・ラ・コルーニャで公式戦37試合18得点と活躍した。そして昨夏の8月30日に2000万ユーロ(約26億円)で買われ、アーセナルに移籍していた。だが、アーセナルでは満足な出場機会は与えられず、21試合7得点と思うような結果を残せなかった。さらに今夏は、何の相談もなく、自身の背番号だった9を新加入のフランス代表フォワードのラカゼットに与えられるなど苦しい状況に置かれた。昨シーズン中からチームに不信感を抱いていたルーカス・ペレスは、初夏から古巣への復帰をメディアを通じて公に訴えていた。

デポルティビスタのマテオくんは、7月2日から彼のアイドルが愛するチームに戻ってくるように願っていた。ルカス・ペレスと名前の入ったデポルやアーセナルのユニフォームを着た写真と共に彼の願いはツイートされていた。時にはデポルのキャンパスに参加した姿を掲載し、まるでルカス・ペレスにクラブの近況を伝えるようなツイートもしていた。違約金がネックとなり、交渉はスムーズに進まなかったが、マテオくんは「そう帰ってこれる、帰ってくる」という言葉を約2カ月間ツイートし続けた。

かくして願いは、8月31日に叶った。アーセナルからデポルティーボ・ラ・コルーニャへのレンタル移籍が決まったのだ。ルーカス・ペレスの366日ぶりのリアソールへの帰還であり、マテオくんがツイートを始めてから64日目の出来事だった。

ルーカス・ペレスはラ・コルーニャの空港に到着すると、マテオくんがおり、彼はマテオくんを車に乗せて、家まで送っていた。マテオくんは空港でのツーショットなど4枚の写真と共に「64日目。@LP10oficial そう帰ってこれる、帰ってくる・・・そして、帰ってきた」とツイートした。

ルーカス・ペレスは「マテオは僕を見てとても嬉しそうにしてくれた子どもだ。彼は僕が(幼少期に)マウロ・シルバ、トリスタン、マッカーイ、トリスタン、フランを見た時に僕が感じていたことを反映していた。僕の人生を知っていて、感謝している。すばらしいことだ。こういうことが僕を家に戻してくれた」と話した。

アイドルがバレロンだったと言うマテオくんの父親は言う。

「フットボール選手は子どもたちにスポーツに参加するとは何かを教える模範だ」

アイドルは世代ごとに変わるが、その思いは今トップチームのユニフォームを着る選手たちに伝承され、同時にクラブの歴史は紡がれていく。

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