クラブ史上初めての1部に挑むジローナ

新シーズンが18日に開幕する。リーガ・エスパニョーラ1部には、見慣れない新顔が1チームある。昨季悲願の1部昇格を決めたジローナだ。2009年から2011年まで日本人ストライカー、指宿洋史が所属していたので、耳にしたことがある方も多いのではないか。

 

ジローナは、バルセロナから高速鉄道で約1時間のフランスに近いカタルーニャ州北部にある。人口9万8,000人の街は、街の中心街を流れるオニャル川に沿いに立ち並ぶカラフルな住宅の風景や、人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の撮影地にもなった大聖堂が有名だ。

 

1930年にこの街にジローナFCが創設された。スタジアムは街の外れにあるモンティリビだ。山に近いので、冬は湿気もあり、寒いが、コンパクトでスタンドの声がもろにピッチに反映される趣のあるスタジアムだ。1部昇格が決まってから拡張工事を続けており、北ゴール裏のスタンドは2階ができ、高くなかった。バックスタンドも同様に2階席をつくろうと工事を続けているが、19日のホーム開幕戦に発表されている1万3,500人を収容できるかどうかは分からない。15日にマンチェスター・シティとモンティリビで親善試合を行ったが、とても週末に間に合うような景観ではなかった。

 

チームは昨シーズンに比べて、陣容が変わった。リーガ1部で経験が豊富な人材を要所要所に補強している。ゴールキーパーにはアスレティック・ビルバオで活躍したイライソス、前線にはエスパニョール、レバンテなどでプレー経験のあるストゥアニを獲得している。

 

またジローナは、日本の横浜F・マリノス同様にマンチェスター・シティを運営するシティ・フットボール・グループの一員だ。ジローナはプレシーズンのトレーニングを8日間マンチェスターで行っており、ドウグラス・ルイスとアレイシュ・ガルシアの2人はマンチェスター・シティからのレンタル移籍だ。冬の移籍市場などで補強が必要となればそのネットワークを大いに活用できるはずだ。

 

ジローナのアイドルは、監督のパブロ・マチンだ。2013-2014シーズンに2部で降格寸前だったチームをシーズン途中から就任し、残留に導くと次の2シーズンは昇格まであと1歩のところで、涙を流していた。そしてチームを率いて4シーズン目の昨季、見事に2位でリーグを終え、1部自動昇格を達成した。監督とは黒星が重なればもちろん首が切られる。新シーズンは1部でのより厳しい戦いが待っているが、シーズンがどう終わろうと、途中で戦績不振で解任されても、彼がこのクラブにとってアイドルであることは変わりないだろう。クラブや市民が彼に寄せる信頼は絶大だ。

 

パブロ・マチン監督は、スペインでは当時あまり採用されていなかったスリーバックの陣形をベースに、後方からゲームを組み立て、ボールポゼッションを高め、両サイドを上下に走るアタッカーを活用する。自分たちが主体的に攻めるフットボールを貫いてきた。1部でもこの攻撃的な姿勢を貫けるのか。

 

クラブ史上初めての1部で、ジローナはどんな戦いを見せるのだろうか。

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