17歳の審判、選手に殴られ緊急入院

バレンシアの地域リーグ2部のゲームで悲劇が起きた。その日は、ミスラタ UFとロス・シロスの試合が行われていた。信じられないことは88分に起きた。その日、主審を務めていた17歳のヘクトル・ヒネルがアウェーチームであるミラスタ UFの選手のプレーにファウルを宣告し、そしてレッドカードを提示。退場を宣告された選手は審判に詰め寄ると顔面を殴り、そして倒れた審判のわき腹を2回蹴りあげた。すぐに選手たちが間に入って止めようとしたが、すでに審判の身体には青あざができており、試合はその場で中止。グランドには救急車が呼ばれた。17歳のヘクトル・ギネルはひ臓が破裂しており、すぐに緊急手術が行われた。手術の結果、彼はひ臓を失ってしまった。  

審判を殴ったのは彼よりも10歳歳上の選手で、驚くことに職業は警察官だった。地元警察は、試合が行われた日の0時15分に傷害でこの選手を逮捕した。ミラスタの会長は「彼に何が起きてしまったのか。全く私たちにも分からない」とテレビの取材に応えている。  

エクトルはその後順調に回復しているが、そのゲームをスタンドから観戦していた彼の両親は、「息子はもう審判を辞めたいと言っている」とコメントを残した。  

スペインでは審判はどのカテゴリーでも憎悪の対象になってしまう。子どものゲームであろうが、観戦する子どもの両親が審判を罵倒するのはもはや当たり前。試合やリーグの競争力を高める、もしくは審判のスキルを伸ばすという意味ではいい環境かもしれないが、あまりにも審判に対して尊敬を欠く野次が目立つのも事実だ。  そんな実情がこの事件のひとつの要因となっている。

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