目の前に自分のアイドルがいる。走れば5秒もしないところに立っている。ユニフォームを手に入れたい。彼らと少しでもいいから話をしたい。サッカーが好きな子どもや少年だったら誰もがそう思うのだろう。
UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦。メスタージャでのバレンシア対パリ・サンジェルマンの試合後、ひとりの青年がピッチに飛び出し、ソルダードまで近づく。警備をくぐり抜けて、ソルダードに辿り着いた青年はひと言、ふた言話すと、バレンシアのキャプテンにユニフォームをお願いした。ソルダードは敗戦したばかりであまり顔は浮かれていなかったが、着ていたユニフォームをそのままプレゼントした。
スペインリーグ第24節のグラナダ対バルセロナ戦直後、両チームの選手が互いの健闘を讃え合い、審判に挨拶している時だった。ひとりの子供がピッチに侵入した。彼のお目当てはピケ。ピケに近づいたが、彼の目と鼻の先で警備員に捕まってしまう。警備員はすぐさま外に連れ出そうとし、子供は泣きじゃくっていた。それを見たピケはまず警備員に話し、子供を解放させるとその子とまずハグし、自分の着ていたユニフォームを彼にプレゼントした。試合終了直後のピッチの真ん中で起こった出来事。スタジアムにいる観衆はほとんどその光景を見ていたらしく、ツイッターでは泣きじゃくる子供を慰めるように優しく接したピケの対応に称賛の声が集まっている。
ただ、スタジアムに侵入するのは決してよいことではない。たとえばバレンシアはファンがピッチに侵入できたということで、UEFAから警備責任を問われ、罰金を課させれる可能性がある。