”Joyel Rico de los Austrias”とは?-2

プラド美術館が所蔵するアントニオ・モロの画いたメアリ1世の肖像画で、彼女が首から提げているのは「Joyel Rico de los Austrias」と呼ばれる宝石だ。

大概「Joyel Rico de los Austrias」といえば、植物を象ったエナメル加工のフィリグリーが施されている土台の20カラット金ブローチと、中央にはめ込まれた「池」(El Estanco)という名の100カラットのダイアモンドと、下部にぶらさがっている「巡礼者」(La Peregrina) という名の58カラットの真珠から成るセットのことを指すが、「池」と「巡礼者」をベースのブローチから取り外して、それらだけを単体で使用する場合もあり、土台を他のアレンジのものと交換して使用する場合もある。

「池」はフェリペ2世がベルギーのアウトウェルペン(アントワープ)にて、金80.000エスクードでフランドル人のカルロス・アフェタロ(Carlos Affetaro)から買い取り、アンダルシアのセビージャで研磨(カット)を依頼したダイヤモンドで、不純物のなく鏡のように見えることからこの名前が付けられた。「巡礼者」は16世紀にパナマ共和国のパール島で発見された大きな涙形の真珠。どちらも世界に二つとない代物だ。

フェリペ2世は婚礼時に、この宝石を彼の2番目の后メアリー1世に贈り、その時以来、スペイン王家に代々伝わる財宝となった。16世紀以降19世紀までのスペインの王族の肖像画に頻繁に現れるため、それらの絵画を見る機会があれば、この事を思い出して欲しい。

以下、歴代の持ち主とその肖像画を何点か挙げてみたい。
メアリー1世が身につけた後の1570年に、フェリペ2世が彼の姪であるアナ・デ・アウストゥリアと結婚。その際、彼女にこの宝石が受け継がれた。実際この宝石を身につけた姿で、サンチェス・コエージョ、アントニオ・モロ、バルトロメ・ゴンサレスの作成した肖像画に描かれている。

スペイン王族の宝Joyel Rico de los Austrias

スペイン王族の宝Joyel Rico de los Austrias

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