デジタルアーカイブの架空美術館、誕生

プラド美術館は世界最大のゴヤ・コレクションを誇る。そのため、同美術館は多くの人々にゴヤの作品を知ってもらう事を義務の一つと認識している。その普及活動の一環として、先月19日、1000点以上のゴヤの作品の高解像度画像を閲覧できる、架空美術館ウェブサイト『Goya en el Prado』を開設した。

このサイトには、ゴヤの略伝、彼のテクニックについての解説、各作品にまつわるヒストリーなど、莫大な量の情報が収録されている。情報は常時更新され、新たな発見があれば書き足されていく予定だ。

これまでゴヤに関して多くの書籍や画集が出版されてきたが、今回開設されたウェブサイトほど包括的なものは存在しなかった。ウェブサイトには紙媒体のように、かさばるという欠点もなく、膨大な情報が収録出来、情報は常時更新されるので、アクセス時に最新の情報が閲覧できる。保存状態の都合で一般公開の出来ない作品が鑑賞出来るのもウェブならでは。その中には1775年から1799年にわたって、ゴヤが彼の友人マルティン・サパテール宛に書いた書簡もある。この一連の手紙は、ゴヤの人生や彼の性格を知るために不可欠な資料だが、劣化の懸念から今まで一般公開されていなかったのだ。

美術館関係者はこのウェブサイト開設で、実際の美術館への来場数が減ることはないとしている。なぜなら、作品を美術館で直に見たときの感激は、パソコンのスクリーン越しには味わえないからだ。このウェブサイトが、一般の美術ファンや研究者の役に立ち、また、まだゴヤをまだ知らない人々や、地理的、経済的な事情で美術館に来れない人々がゴヤを知るための助けになれば、という美術館側の願いが、このサイトに込められている。

→架空美術館サイト『Goya en el Prado』2012

goya en el prado

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