ゴヤの頭が消えた!

ゴヤはスペインを代表する画家で、彼の「裸のマハ」、「着衣のマハ」は美術の教科書に必ず登場するマスターピースです。彼は宮廷画家を務め、18世紀-19世紀スペインの王族、貴族、啓蒙家、ブルジョアジーなど、当時のセレブの肖像画を多く残しました。ゴヤの絵画の展示されているギャラリーには終日、世界中から訪れる観衆で賑わっており、市内の本屋には、彼のアートワークや、人生を題材としたモノグラフが所狭しと並んでいます。このように有名なゴヤですが、意外にあまり知られてい事実があります。それは、“彼の頭蓋骨が消失している”という事です。

ゴヤは1828年、亡命先のボルドーで82年の波乱に満ちた生涯を閉じました。遺言で、彼は母国で埋葬される事を望みましたが、それは叶えられず、彼の亡骸はボルドーの墓地に埋葬されてしまいました。それから60年程経った1889年、ボルドーのスペイン領事ホアキン・デ・ペレイラの見守る中、遺体をスペインに帰還させるべく、ゴヤの棺が掘り起こされ、そこで、驚愕の事実が明らかになりました。ゴヤの棺には冒涜された形跡があり、ゴヤの骸には頭がなかったのです。

 ゴヤはその後、マドリッドのサン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂に安置され、「頭がないのは、研究題材として科学者に提供されたため」という公式の見解が出されました。しかし、埋葬時には確かに、ゴヤの遺体には頭があった、と彼の最期を看取ったブルガダ夫人は、政府の発表とは食い違う証言をしています。ゴヤは墓荒らしに遭い、その悪漢によって頭を盗まれてしまったのでしょうか?しかし、何故?・・・この奇怪な事件、犯人、犯行動機、頭蓋骨の今の所在など、確な事は何一つ解かっていません。

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