マドリードの公共輸送機関は、昨年8月に大幅な値上げがあったにもかかわらず、5月1日からさらなる改正が実施された。
前々よりメトロの補助金の高騰が話されていたが、2月に一度、マドリード州の運輸大臣より「値上げは行わない」旨の声明が出されていた。しかし、それもわずか3ヶ月で撤回される形となった。
そのため、4月25日朝の通勤・通学ラッシュの時間帯には、値上げ反対を訴える人々が、メトロ9路線で非常用ブレーキシステムをほぼ同時に作動させ、逮捕される事態も起こっていた。これによりメトロは13分間止まり、8,000名の足に影響が出ていた。
昨年8月、メトロ・バスの「1回券」は1回1ユーロ(=約105円)から1.5ユーロへと50%も上昇した。今回は、新たに1回券の料金が複雑化されている。メトロの場合、乗車から1~5駅目までが1.5ユーロ、6~9駅目までは0.1ユーロずつプラス、10駅目以降は2ユーロとなっている(※バスは変わらず1回1.5ユーロ)。メトロ・バスの「10回券」は9.3ユーロから12ユーロへ。この場合、メトロでは駅数に関係なく乗ることができる。
この改正の中で唯一の朗報は、バスのみだが「60分間乗り換え自由の10回券」ができたことだろう。これまでマドリードにこの手の回数券は存在していなかった。その値段は18ユーロで、1回に換算すると0.6ユーロ割引の1.8ユーロ(※通常10回券でバスを2回乗った場合、2.4ユーロ)となっている。
料金改正の中でも「空港の追加料金」は大幅増となった。メトロでマドリード・バラハス空港を行き来する場合、これまで1ユーロの追加料金が必要だった。しかし、今回からは、3ユーロへと大幅な値上げとなった。そのため、1回券でマドリード市内から空港に行く場合、これからは4.5ユーロ~5ユーロかかってしまうことになる(4月30日までは2.5ユーロだった)。また、アトーチャ駅やシベレス広場発着の24時間運行の空港バスも2ユーロから5ユーロへと大きく値上がっている。
この不景気の中、わずかな年月で大幅な上昇率のマドリードの公共輸送機関。天井知らず、という言葉があまりにもピッタリのようだ…。