誰よりも先に世界を見たスペイン人

17世紀にナイル川の源流を世界で最初に発見したイエズス会士。16世紀にカンボジアを統治したラ・マンチャ人。15世紀に世界で初めてアジア大陸の欧州大使となったマドリード人。アメリカ合衆国50州最古の都市を建設したアストゥリア人・・・。

5月8日(火)に発売されたノンフィクション本、「Antes que nadie:誰よりも先に」(フェルナンド・パス著)は、タイトルの通り、“誰よりも先に”世界を開拓した歴史上のスペイン人を紹介している。

ナイル川源流の発見者と言えば、イギリス人の探検家ジョン・ハニング・スピークが1858年に発見したヴィクトリア湖が有名だが、実は1618年、イエズス会士ペドロ・パエスが青ナイル川の源流であるエチオピアのタナ湖をすでに発見していた。宣教師として7年間の捕虜生活を含む冒険人生を送ったパエスは、1620年に「Historia de Etiopia(エチオピア記)」を書き上げるなど、欧州にアフリカ大陸を紹介した最初のヨーロッパ人だった。

世界初のアジア大陸における欧州大使がスペイン人だったこともあまり知られていない。1403年、カスティーリャ国王エンリケ3世の侍従だったルイ・ゴンサレス・デ・クラビホは、モンゴル帝国ティムール朝との同盟任務のため現地に派遣され、首都サマルカンドで元首ティムールに歓迎された。サマルカンドには、ルイ・ゴンサレス・デ・クラビホの故郷マドリードにちなんで、「マドリード」という町が今でも存在している。

世界で権威を振るった時代が嘘のように、今はEUから経済力の弱さを叩かれ、4人に1人が失業中という不況にあえぐスペイン。長引く危機を抜け出すのに必要なのは、世界に先駆け未知の大陸に挑んだ先人たちのフロンティア精神なのかもしれない。

Antes que nadie:誰よりも先に(フェルナンド・パス著)

Antes que nadie:誰よりも先に
(フェルナンド・パス著)

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