村民の楽しみと引きかえに

アンダルシア州アルメリア県のフェリックス村は、人口わずか700人足らずの小さな村だ。このフェリックス村では毎年、村の守護聖人のひとり聖マルコスの日である4月25日に、村役場主催のお祭りが開催されている。しかし、フェリックス村役場は、毎年恒例の聖マルコスのお祭りを「今年は開催しない」ことを決断した。

というのも、フェリックス村は、不況にあえぐスペインの他の市町村同様、多くの失業者を抱えており、この失業者たちを救済する措置として、お祭りの予算10,000ユーロ(約106万円=1ユーロ106円で計算)で、「雇用を創出」することを決定したからだ。今回の決定で、フェリックス村ではお祭りにかわり、「3人の失業者に1ヶ月半」にわたり職をもたらすことになった。村役場と契約を結んだ3名は、土木工事や補修工事に従事することになる。

フランシスコ・フローレス・カノ村長は言う。「この瀕死の不況の中で、フェリックス村もこれまでなかったほどの失業者を抱えている。長期にわたり失業している人に、“少しでも収入を得る機会を与えたい”というのが我々村人全員の望みだ。今年の聖マルコスは(村人みんなで)盛大に祝うことはできないが、ミサは通常通りに行うことになっている。来年、もし経済状況が改善されていたら、聖マルコスの日を盛大に祝うことができるだろう」

そのフェリックス村では、アンダルシア自治州から支払われる予定になっていた87,000ユーロ(約922万2,000円)の支払いが滞っており、村の財政を圧迫している。小さな村が村民の楽しみと引き換えに雇用を生み出している状況に、アンダルシア自治州政府はどのように応えることになるのだろうか?

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