イスラム教女生徒、試験を受けさせてもらえず

マドリード市にある某学校で、14歳の女生徒が‘ヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭に被るベール)’を被って学校の試験を受けようとしたところ、担当教師に教室から退室させられ、話題になっている。フランスでも数年前に公共の教育機関でのヒジャブ着用の賛否について大きな論争が起きたのは有名ですね。結局、フランス政府は公共の教育機関で小さなペンダント等を除く宗教関係のシンボルを一切禁止する法律を発令しました。フランスはイスラム教徒が多い国ですので、かなり大きな論争になりました。ヒジャブ着用の賛否に関しては、マドリードでも今回が初めてではなく、度々論争が起こっています。現在、スペインの法律では特に禁止されておらず、身分証明書に関して言えば、髪の生え際から顎までが写真に写っていれば有効とするとされています。

今回、話題になっている女生徒の父親はセウタ(モロッコ内にあるスペイン領)出身の44歳。娘が自らヒジャブを着用すると言いだした時は驚いたと語る。母親はイスラム教徒であるがヒジャブを着用していないし、誰もヒジャブ着用を強要していない。自分で決めて今年の8月に着用を始めたと女生徒はメディアに話した。そして試験当日、最初は試験を受けさせてくれたが、最後まで受けさせてもらえなかったと語る。一方、教師側の言い分は、女生徒が突然ヒジャブ着用するようになり、試験当日も着用してきたので、カンニングのためのイヤホンを付けていないか確認したかったと言う。女生徒に耳を見せるよう要求したところ、拒否したので退室させたと言う。結局、教師および生徒の両親を含めて会議を行い、試験時にカンニング用のイヤホンを着用していないか耳を確認できるのであれば、ヒジャブ着用し授業を受ける事に問題はないとの結論に至った。

さて、今回の出来事をイスラム教徒に対する偏見および差別と見る人もいれば、当然のことだと思う人もいるようです。イスラム教の国に旅行する時、私たちはイスラム教徒のルールを尊重し、それに従わなければなりません。例えば、サウジ・アラビアなどで外国人女性はヒジャブの着用を義務付けられたり、車の運転を禁止されたりします。それなのにイスラム教徒は自分たちが海外に行った時にはその国のルールを尊重せず、自分のルールばかりを主張すると憤慨する人もいるようです。今回、表向きには解決していますが、根本的な問題は見えない溝として残っているように感じます。

ページトップへ