カタルーニャの闘牛、ついに幕を閉じる

2011年9月25日、バルセロナ最後の現役闘牛場「ラ・モヌメンタル」で、「カタルーニャ最後の闘牛」が行われた。この日は約2万人の観客がラ・モヌメンタルに駆けつけ、世界最高の闘牛士ホセ・トマスの名演を堪能しながら、カタルーニャの闘牛に別れを告げた。コリーダ(闘牛)が終わっても、観客席からは拍手喝さいと「闘牛万歳!」「自由万歳!」「Catalunya és Taurina !(カタルーニャは闘牛の地)!」の叫びがやまなかった。かつてマドリードの「ラス・ベンタス」、セビージャの「マエストランサ」と並んで「スペインの三大闘牛場」に数え上げられたラ・モヌメンタルは、こうして97歳で引退を迎えたのだった。

昨年カタルーニャ州議会で可決された「闘牛禁止法」により、カタルーニャで唯一使われていたラ・モヌメンタルの閉鎖が決定、以来、国内外で闘牛の存続をめぐって激しい論争が交わされてきた。最後の闘牛となったこの日も、開場前から闘牛賛成派と反対派が通りを埋め尽くし、「芸術保護」と「動物愛護」のプラカードを掲げて激しくぶつかり合った。反対派が「闘牛追放は生命尊重への大きな一歩」と禁止に満足する一方で、反対派は「伝統、文化への侵害」と反論。賛成派から「ホセ・トマスは闘牛界のメッシ。サッカーファンがメッシのプレーをカンプ・ノウで観たいのと同じように、わたしたちもここで偉大な闘牛士の芸術を鑑賞したいだけ」との意見が飛び出すと、反対派は「動物虐待のどこが芸術か」と応戦。警備隊の監視下、闘牛終了後も場外のにらみ合いはしばらく続いた。

閉鎖後のラ・モヌメンタルは、コンサートをはじめとするエンターテイメントスペースに生まれ変わる予定。ちなみに、この闘牛場では過去に、ビートルズ、ローリングストーンズ、ボブ・マリーのコンサートが行われている。

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