シーズン中に何度も変わる批評

選手にとって、コロコロと変わるのが、世間の評価だ。4月5日に行われた29節のグラナダ戦でレアル・マドリードは9-1で大勝した。エースのクリスティアーノ・ロナウドは9得点のうち1人で5得点を奪った。レアル・マドリードで1試合に5点を奪った選手は、2001-2002シーズンのモリエンテス以来となる。

ロナウドは2015年に入ってから、リーガにおいてサンティアゴ・ベルナベウで、PKで1ゴールしか奪っていなかった。さらにはアトレティコ・マドリード戦で大敗した後に盛大な30歳の誕生日パーティーを催したり、得点数の低下と共にその批評は大きくなるだけだった。敗れたとはいえ、“エル・クラシコ”でゴールを決めても、マドリディスタ、そしてそんなサポーターの感情、オピニオンを先導するマドリード寄りのメディアの味方は手厳しいものだった。

それが5得点を決めると一変、手の平を返したように称賛が始まる。それまで得点を奪えなかったのは、モドリッチやハメス・ロドリゲスがいなかったからという分析はそこそこに、いつものような過剰で盛大な賛美が始まる。

一方、リーガ首位を走るバルセロナは“エル・クラシコ”で手にしたリードを何とか維持している。セルタ戦ではマテューのヘディングで勝利したが、レアル・マドリード戦も含めて、ここ2試合のパフォーマンスは低調で、決して褒められたものではない。それでもゲームに勝利し、何とかリーダーの位置を守っているから批判は起こらない。負けていれば、ここ1ヵ月得点がなく、決定機を外し続けているネイマールが手の平を返されたような批評を受けることになるだろう。

バルセロナには黄金期を築いたような華麗なパス回しはもうない。今は偉大なスリートップの能力を全面に押し出すだけのフットボールだ。かつてのチームと比べるべくもなく、美しいフットボールをしているのは、むしろレアル・マドリードの方だ。それでも何も起こらないのは「結果」を残しているからだ。

どんなに美しいフットボールをしても「結果」がなければ、誰も称賛はしない。

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