スペインの生ける伝説、最も困難な挑戦

やはりスペイン人にとって気になる存在なのだろう。というよりも歴史上の偉人なのだから、彼の近況は誰もが知りたいのではないか。

イケル・カシージャスだ。言わずと知れたスペインフットボール史上最高のゴールキーパーであり、2008年欧州選手権、2010年ワールドカップ、そして2012年欧州選手権とメジャー大会3連覇したスペイン代表のキャプテンだ。そして20世紀最高のクラブに選出されたレアル・マドリードのカンテラ出身で、キャプテンを務め、クラブが悲願となる10度目のチャンピオンズリーグ制覇の時にはトロフィーを掲げたのもカシージャスだった。誰もが羨むようなキャリアだ。

かつてはレアル・マドリード、もしくはスペイン代表の話題でスペイン紙のどこかにほぼ毎日、彼の話題が掲載されていたが、2015年夏にレアル・マドリードを退団してからは徐々に紙面を飾る回数は減った。

そして今、カシージャスがスペインの地元メディアで報じられている。というのも、2015年夏から入団したポルトで初めて3試合連続でベンチに座ったからだ。それは驚きでもあった。カシージャスは今シーズンは悪いプレーをしているわけではない。今シーズンは自身のキャリアにとって最長となる530分間無失点を達成し、10試合6失点で、7試合を無失点で終えていた。

ポルトのセルジオ・コンセイソン監督は自身の戦略的な決断と公言しているが、ポルトガルの地元メディアの中にはカシージャスのトレーニングの姿勢や遠征時に携帯電話を常に触っていることが指揮官の怒りを買ったと報じるところもあった。理由には何にせよ、カシージャスは3試合連続でベンチで過ごしているのは事実だ。

36歳のカシージャスは、2016年欧州選手権後、フレン・ロベテギが代表を率いるようになってから、招集されていないが、2018年のワールドカップ出場を目指しているという。夏には代表監督の目に留まるような欧州のクラブへの移籍を模索していた。結局は2018年までポルトと契約を延長したが、2018年ワールドカップでのスペイン代表復帰を諦めたわけではない。ポルトガルの強豪でチャンピオンズリーグにも出場するポルトで活躍すれば、代表復帰への道は開けると考えていたに違いない。

とはいえ、その道のりは険しい。簡単なものではない。

スペイン代表ではデ・ヘアが正ゴールキーパーとして絶対的な信頼を置かれている。マンチェスター・ユナイテッドでも、相変わらずすばらしいパフォーマンスを披露している。カシージャスというビックネームが復帰すれば、論争が起こるだけなので、並大抵のパフォーマンスを示さなければ、代表監督は招集を避けるかもしれない。

スペイン代表として167試合と最多出場記録を持つ生ける伝説は、再び代表ユニフォームを着る日が来るのだろうか。

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