数字でも読み取れない相性

スポーツは結果が出るまで分からない。圧倒的に弱い者が、絶対的な勝者を打ち負かす。そんな誰もが予想しなかったことが多々起こる。走行距離、速度、パス成功率などピッチ上のプレーはすぐさま数字で全て読み取れるようになるが、番狂わせが起こるように人と人が対戦する試合では、数字だけで解読できない事象もある。

例えば、相性だ。

バルセロナのルイス・スアレスは、誰もが知る現在世界最高峰のストライカーの1人だ。リーガに91試合出場し、79ゴールを記録している。その得点力に疑いの余地はない。そんな呆れるほどゴールを量産するウルグアイ人だが、いまだに得点を奪ったことがないリーガのチームがある。31節に対戦したマラガだ。ルイス・スアレスはマラガと4回対戦したが、いまだに1ゴールも決めていない。マラガの守護神であるカメルーン人ゴールキーパー、カメニとの相性が良くないのか。それとも水色と白の縦縞のユニフォームには何か因縁があるのか。マラガは20チーム中、失点数は10番目に少ないチームであり、特別ディフェンスが堅いわけでもない。それなのに、ルイス・スアレスは4試合経っても、まだ1得点もできていない。数字では読み取れない何かが作用しているとしか考えられない。

ルイス・スアレスがまたもマラガから得点を奪えなかった日、バルセロナはアウェーで2-0で敗れた。リーガ制覇が大きく遠のく黒星だ。さらに下部組織で育ち、トップチームでリーガデビューしたが、戦力外となりマラガへ移籍したサンドロに得点を奪われた。散々なゲームだった。

指揮官にとっても、マラガとの相性は良くない。ルイス・エンリケは就任初年度にリーガ、チャンピオンズリーグ、コパ・デル・レイの3冠を達成し、昨シーズンもリーガとコパ・デル・レイのダブルを達成した。クラブ史においても、グアルディオラに匹敵する成功を手にした監督だ。その彼もマラガとは相性が悪い。6試合対戦して、2勝2分2敗と全くの五分だ。戦力や戦績を見比べた時にバルセロナの勝利が高く当然とも思えるが、ここにも数字では見えない相性が働いている。

現代フットボールでは、全てのデータがあぶり出される。神のみぞ知ることがあるからこそ、フットボールは、スポーツは面白く、ライブ中継に人々は釘付けになる。しかし、いつの日か、チームとストライカー、もしくはチームとチームにおける相性の理由が解明されることがあるのだろうか。

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