バレンシア期待のサイドバックは60ゴールを奪う元点取り屋

今シーズン、開幕から3試合連続でバレンシアの左サイドバックを務めているのがホセ・ルイス・ガヤだ。1995年5月25日生まれの19歳は左利きだ。その正確なクロスは今やバレンシアの武器となっている。開幕戦ではパコ・アルカセルのゴールをそのクロスでアシストしている。トップチームではプレーをしていたが、今シーズンはヌーノ・エスピリト・サント監督の信頼を勝ち取り、定位置を確保しつつある。バレンシアは近年ジョルディ・アルバ、ベルナットと優秀なスペイン人左サイドバックを生み出しているが、その流れは今のチームにも継承されているようだ。

ガヤが左サイドバックでプレーを始めたのは2008年11月だった。バレンシアのインファンティールA(12-13歳)に所属していた彼は、7人制サッカーでシーズン60ゴールを決めるフォワードだった。典型的な9番だ。この日はバレンシア自治州リーグでエルチェとのアウェーでのゲームを控えており、ガヤはいつものようにフォワードでプレーすると考えていた。  

しかし、当時の監督であったビセンテ・カストロは左サイドバックでの起用を告げた。監督は深いゾーンまで駆け上がることができる選手を探しており、「なぜガヤをそのポジションで起用しないんだ?」と考え、ストライカーをサイドバックに配置した。ストライカーだったガヤは、そのポジションでの起用を告げられた時に驚き返答に口が詰まった、と当時の監督は地元紙に振り返っている。ただ、ガヤはポジションの変更に怒ることもなく、受け入れた。ビセンテ・カストロ監督はガヤのコンバートの理由をこう話している。

「いつも攻撃を仕掛けるチームだった。左サイドバックにいたサルバをセンターバックでプレーするために移し、その代わりを探していた。左サイド深くまで攻撃できる人材を探していた。彼は偉大な試合をした。けれど、サイドバックというより左サイドアタッカーだった。なぜなら彼はいつも高い位置にいたからだ。彼はコンバートされた最初の日から自陣から攻め上がっていた。」「彼はパーフェクトに適応した。なぜなら自分のやるべきことを明確に分かっていたからだ。」  

それにしてもシーズンで60ゴールを奪うストライカーをサイドバックに配置するとは、大胆で思い切りのあるコンバートだ。左サイドバックに転向したガヤはスペインの各年代の代表に召集され、今ではバレンシアのトップチームでレギュラーを張るまでになった。ガヤはこう話している。「ビセンテは僕を最初にサイドバックに配置した監督だった。彼にはとても感謝している。」 

選手のキャリアはどこでどう転ぶかわからない。もし当時の監督であったビセンテがガヤをコンバートしていなければ、彼はプロサッカー選手になっていなかったかもしれない。自分の才能を的確に見極めてくれる監督との出会いも選手を大成させる上で重要な要因であることは確かだ。

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