サンドロ・ロセイ政権をめぐる論争

23日にバルセロナのサンドロ・ロセイ会長が突然、辞任を発表した。ネイマールの移籍金についての不透明な金銭のやり取りを指摘したバルセロナのソシオの訴えが受け入れられたことに対し、クラブを巻き込みたくないために辞任したようだ。彼自身だけでなく、家族もこの件で脅迫されていたと語っている。  

2010年にバルセロナの会長に就任したサンドロ・ロセイ。史上最多の投票数での当選後、数多くのタイトル獲得などクラブは様々な功績を残した。が、就任当初から現時に至り、ロセイ政権に対していろいろと論争が起きていた。次のようなことだ。

・ヨハン・クライフとの闘争。バルセロナ名誉会長だったクライフだが、サンドロ・ロセイが会長に就任するとその役職は取り消され、名誉会長職を返上した。ラポルタと親交があるクライフは、その後、サンドロ・ロセイ会長と現クラブ役員をことあるごとに批判している。

・ブラジルでの不正ビジネスの疑い回避。時々、ソシオに販売されなかったチケットを自分が株式を持つブラジルの会社が販売していたという疑いからもうまく逃れてきていた。このことはスペインの地元メディアにはあまり取り上げられていないが、ブラジルではよく報道されていたという。

・カタールとのスポンサー契約。バルセロナがカタール財団と契約したことに対してソシオの一部から大きな批判があった。もともとソシオの会費で運営しているクラブのため、ユニフォームの胸にスポンサーは入っていなかった。さらに、カタール財団との交渉、契約を全く情報として流していなかった。

・グアルディオラ退団時のひと悶着。クラブ史上最高の成功を収めたグアルディオラ監督は、会長、役員とよい別れ方ができなかった。彼の退団会見で自分の右腕だったティト・ビラノバが後任と発表されたが、グアルディオラはそのことを全く知らされていなかったのだ。遺恨は残り、バイエルン・ミュンヘンの監督になった後もサンドロ・ロセイとの論争を起こしている。

・アビダルの退団。肝臓に腫瘍が見つかり、手術を受けたアビダル。復帰したが、その後また肝臓移植して再復帰。クラブは公に契約延長の意志を見せていたが、結局オファーを出さず。ロッカールームもサポーターもソシオも、そんなロセイ政権のやり方を不快に思っていた。

・ビクトル・バルデスとの契約延長不合意の失敗。ビクトル・バルデスはバルセロナで最も成功をおさめたカンテラ出身のゴールキーパーだが、契約延長に合意できず。退団を許してしまっただけでなく、クラブはいまだに彼の後釜を見つけることができていない。

こういった積み重ねが、今回のネイマールの不透明な移籍金を巡ってサンドロ・ロセイ会長辞任の引き金となったようだ。

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