世界初!地中海のクロマグロ養殖最前線

日本の食生活に欠かせない魚のひとつクロマグロ、現在では年間漁獲量は1万3000トンまでに下がったが1990年から2006年にかけての年間漁獲量は7万トンにものぼり、欧米では本種の資源の枯渇に対する懸念の声が高まっていた。

かねてから業界ではマグロの養殖は難しいと言われていたが、スペインのマラソン(ムルシア)では現在地中海のクロマグロの養殖が行われている。
4基からなる養殖いけすは直径、高さともに20メートルで成人したマグロの飼育に十分対応しマグロ養殖のための最適な環境を整えている。
本来マグロは寒い冬の時期には餌を食べなくなり、それが原因で死に至り生き残るものはごく僅かであるといわれている。

今回のこの試みで、海で捕獲されこの養殖いけすで産卵したマグロ「La abuela」(おばあちゃん)が生んだ卵は140万個、そこから孵って稚魚になったのはわずか35匹、そして今現在生き残った奇跡の20匹のマグロが養殖いけすで順調に育っている。
このマグロ養殖の要ともいえるのは餌である。養魚飼料の製造開発を行っているオランダのSkretting社の協力により特別にマグロの育成用に開発された餌が与えられ、メス、オスの背中には生殖機能の促進剤を含むプラスチックの銛のようなものがつけられている。

元気に育っている20匹のうちの一匹は体重が10キロ以上にもなっており、あと1年半後にはここで産卵を迎える予定とのこと。ここまでに到ったのは世界的にも画期的なことであり、地中海のクロマグロの養殖に明るい未来の兆しを見せている。
このまま順調にいけば年間を通じここで育ったマグロがこのいけす養殖で産卵を行い、安定したマグロの供給が行われるという。ここで生まれたマグロが日本の食卓に上る日ももうすぐだろう。

 

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