互いにUEFAチャンピオンズリーグ準決勝で敗れたバルセロナとレアル・マドリッド。ドイツの両チームに敗れたスペインの2強だが、敗退以外にも両者に共通していることがあった。それは「エースが万全ではなかった」ことだ。
準決勝ファーストレグ、ロナウドは1ゴールを決めたが、それ以外に見せ場はなかった。1週間後のベルナベウでもボールを失う機会が多く、精彩を欠いた。バルセロナのアルゼンチン人もポルトガル人と同じだった。ミュンヘンでの第1戦の後には「メッシは出場すべきコンディションにあったのか?」という議論が起こり、メッシの父親が「息子は試合に出るコンディションになかった」と語ったとか、語らなかったという論争にまで発展した。ホームでの2戦目ではずっとベンチで過ごしている。
シーズンで最も重要なゲームで両エースは揃って、万全のコンディションではなかった。なぜこんな事態になってしまったのか?
メッシは今季55試合の公式戦のうち、これまでに48試合に出場。4950分のうち、3968分ピッチに立っている。一方のロナウドは公式戦55試合のうち51試合に出場し、4306分ピッチに立っている。ほとんどの全てのゲームに出場しているのだ。
“世界最高”と讃えられる両者だから当然なのだが、チームは彼らの得点力に依存する。彼らによってチームの攻撃の大半が成り立っているのだ。皮肉にも彼らが万全でないことでシーズンで最も重要な試合で両チームがいかにエースに依存していたことが、証明された。それは数字にもはっきりと表れている。今季のバルセロナの公式戦での総得点数は144で、メッシはひとりで58ゴールを決めている。一方のロナウドは総得点134のうち51ゴールを決めている。
では、なぜチームはエースをシーズン終盤に向けて、序盤や中盤で温存しようとしなかったのだろうか? 地元記者は「賞レース」を要因として挙げている。つまり、「バロンドール争い」だ。メッシとロナウドはバロンドールを争っていた。ゆえに重要でもない試合でも出場し、ゴールを決めなければならなかった。事実彼らがいなくても勝てたゲームはあっただろう。
どちらにしろ両チームともエースが万全であれば、スペインの2クラブはドイツのチームともっと素晴らしいゲームができていたはずだ。