スペイン前首相のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ。彼が『Yo soy Español(私はスペイン人)』というタイトルの本の中で彼のフットボール観を語っている。サパテロは2004年から2011年までスペインの首相を務めた。その在任期間に同国のフットボール代表チームは欧州選手権、そしてワールドカップを制覇。ビッグタイトルを勝ち取ったチームは首相官邸を訪れ、優勝を報告する。ワールドカップを制覇した時には、決勝点を決めたイニエスタをそのプレーだけでなく、人格も絶賛していた。そんなサパテロ前首相が、この本の中でシャビ、デルボスケを讃え、クリスティアーノ・ロナウドを批評している。
シャビに関してサパテロはこう語っている。
「いつも話しているが、シャビの返答の仕方、その正確な話し方はいつも私に強い印象を与えてくれます。たとえば、(自分には)イニエスタのような1対1の能力がないから、ボールをルーレットさせてキープする術を身につけた、と私に話していました。代表チームには強く、器用で、スピードのある選手がいるけれど、シャビのような頭脳を持った選手はいません。シャビとは対照的にクリスティアーノ・ロナウドは驚くべきフィジカル能力を備えています。ただ、結論として最も大事なのは頭脳です」
またスペイン代表監督のデルボスケについてはこう述べている。
「デルボスケのスピーチは好きです。彼は冷静、物静かで、人間味があり、しっかりとした信念を持っています。最も愛すべきスペイン人のひとりです。彼がよい監督か、もしくはよい戦術家なのかはわかりません。このテーマに関しては私はあえて、表立って話しません。デルボスケはどんな大きなカテゴリーでも、自分の偉業をいつも避けて、ひけらかすことなく話しています。その点に私は注目をしています。もしひとつの国のような多様なグループを持った時、デルボスケのその話し方はいいやり方だと思います」
そのデルボスケが現在率いる近年のスペイン代表の成功について、今は成功のサイクルにいるのだと前首相は感じている。 「2008年まで私たちの代表チームは成功せずトラウマを抱えた世代に属していました。解決が難しい方程式でした。欧州で力のあるレアル・マドリード、バルセロナというクラブがありながら、なぜその価値が代表チームには伝わらないのか?もうレアル・マドリードが欧州タイトルを獲得することにうんざりしていたのです。レアル・マドリードだから、うんざりしていたわけではないですよ(笑)理解してくださいね。その後にバルセロナの時代も訪れましたが、代表チームは何も変わっていません。そしてウィーンでの勝利がスポーツ的側面での習慣を変えました。私たちは成功のサイクルに突入したのです」
また前首相はフットボールの影響力について、こう語っている。 「フットボールは世界各国の政界のリーダーがとても多く話す世界的なものです。思いも寄らなかったのはベトナムの首相にフットボールについて聞かれたことです。彼は私たちのリーグ戦を観るために夜中に起きると言っていました。そうやって会話をしなければ、他のことは話しません。カザフスタンの首都ではイニエスタのことを質問されました」
スペインでは“クラシコ”の前に多くの有名人に必ずスコアを予想を質問する。そこにはもちろん首相も含まれる。サパテロはバルセロナのファンとして広く知られている。だから彼がチャビを支持し、クリスティアーノ・ロナウドをこうやって批評しているのではないか。この本を読んで、そう思ったスペイン人は多いのではないだろうか。