マドリードのパラシオ・レアル(王宮)東側に位置するオリエント広場中央にあるモニュメントを頂く「フェリペ4世像」。この像は、ベラスケスとガリレオ・ガリレイのコラボレーションから生まれた作品で、ベラスケスの作成した棹立ちになった馬に乗る「フェリペ4世の騎馬像の絵画」をモデルとしている。
イタリア人彫刻家のタッカは、王の所望どおり、ベラスケスの絵画を基に像の制作に取り掛かった。が、すぐにこれが大変困難な挑戦だということに気がついた。棹立ちの馬の絵画を作成するのと、ブロンズ像を実際に作成するのとでは、難易度が全く違うのだ。
「馬の前身部分が重すぎて後ろ足二本では支えきれない。馬の尾を土台に固定して支えにしても、浮かせた前身を支えるには不十分・・・」。タッカは助言してくれる人物を探した。そこで白羽の矢が立ったのが、当時最も有名な天文学者で物理学者のだった。
タッカは手紙で協力を依頼した。まもなく届いたガリレオから返事には、大体次のような旨が、意気込みのにじみ出る文体で記されていた。
『貴殿が提起された命題、非常に興味深く拝見しました。私は、若い頃やっていたのと同じように、これがあたかもナゾナゾであるかのように取り組んでみたいと存じます。貴殿と師匠ベラスケス殿に協力できることを大変喜ばしく思います。(中略)まず8トンのブロンズが必要です。像の後身は、空洞ではなく塊状のブロンズでなければなりません。傾き、角度を出来る限り早く算出して送ります。問題解決のため全力をつくしましょう。』
ガリレオは、大半の重さを馬の塊状の後身に集中させて、それをカウンターウェイトとして作用させることで問題を解決した。
【ガリレオ・ガリレイとベラスケス-3 に続く】