マドリッドには、ガリレオ・ガリレイとベラスケスのコラボレーションによって生み出された「壮観な記念建造物」がある。
「王宮」は、カルロス3世からアルフォンソ13世までの歴代の王の住まいだった所で、現在はセレモニーに使われる他、一般公開されており、マドリッドの必見観光名所の一つとなっている。ここでは壮麗な王宮の内装や、王家の美術・武器コレクションが鑑賞できる。
王宮の東側に位置するオリエンテ広場の中心には人工の池があり、その真ん中に「フェリペ4世の像」を頂くモニュメントが立っている。このフェリペ4世の像が問題のモニュメントだ。フェリペ4世といえば、ベラスケスが仕えた君主で、「ラス・メニーナス」の絵画の中に鏡に反射した姿で描かれている人物でもある。
フェリペ4世の父フェリペ3世も、かつて自身の騎馬像の制作をイタリアの彫刻家ジャン・ボローニャに依頼していた。現在マヨール広場にあるのがそれで、ジャンボローニャが着手し、後にピエトロ・タッカが引き継いで完成さたものだ。フェリペ4世も彼の父に倣って彼の騎馬像の制作をピエトロ・タッカに依頼したが、そのまま父親の業績を踏襲するよりも、父親のやり遂げた事を超えたいという気持があって、騎馬像のモデルとしてベラスケスの作成した有名な作品を下敷きにするように指定した。
このベラスケスの絵画と言うのがプラド美術館に所蔵・展示されている「フェリペ4世騎馬像」(1635-1636)だ。この絵画でフェリペ4世は指揮棒を携え、棹立ちした馬にまたがり、威厳と尊大さに満ちた姿で表現されている。彼の統治者としての能力を象徴するこの構図は、政治・軍事の最高責任者のみ許されたものであった。
【ガリレオ・ガリレイとベラスケス-2に続く】