2005年からガリシア州ラ・コルーニャ県に新しく建設中の港湾が資金不足で完成が遅れていることに対し、中国の港湾運営会社がおよそ2億4千万ユーロ(約255億円)を投資することが仮合意された。この投資元で提携を結ぶ中国の大連港は、国内第5位、世界では第11位で、その取扱い量はスペイン国内全港の年間約6割に当たるほどの国際貿易港だ。国際的都市としての発展を目指すラ・コルーニャ市(ラ・コルーニャ県)と、豊富な資金で地中海地域や中央ヨーロッパに事業を拡大したい中国側の意向が一致した形となった。
そもそも近年中国によるスペインへの投資が目立っており、中国政府は現在スペイン政府の国債全体の12.5%に当たる2500億ユーロ(日本円で2兆6千億円)を所持している。今年1月にスペインで両国政府及び企業間で交わされた16項目の了解覚書では、中国の石油会社「中国石油加工」のスペイン最大石油・ガス会社「レプソル」への投資を中心に、政府間での再生可能エネルギーなど電力の共同開発、また北京にスペインから輸出物を扱う物流センターの設置などが組み込まれ、スペイン産のワインや生ハム、皮革製品や服飾品の輸出が企業間で約束された。スペイン側の利益は56億ユーロに及ぶなど両国間の関係は良好で、スペインが不景気から抜け出す為にはなんとしても中国に市場を伸ばしたいというのが現状である。
2005年3月に着手した始まったラ・コルーニャの新港建設は、当初4億3千万ユーロの予算で2011年に完成予定だったものの、現在までで倍の8億ユーロ以上の建設費が必要となっている。今回の仮合意をもとに来年の完成を政府は目指している。
今回の建設ではレプソルの新港湾への移設も予定されている。ラ・コルーニャ沖では2002年にタンカーからの石油流出事故が起きており、街の中心部にある商・工業港を6kmほど離れた工業地帯側に移動させ再発を防ぎたいという背景もあるようだ。