“エンチュフェ”とはスペイン語でコンセント、プラグという意味だが、“コネ”という意味もある。スペインで就職活動をしていると、まず学ぶ言葉である。スペインでエンチュフェは民間企業、公的機関共に大きな力を持っているのは周知の事実だが、先週報道されたPP(国民党)所属の政治家夫人に関するニュースは人々の反感をかなりかった。
エスぺランサ・アギレ氏率いるマドリッド州政府、PP所属政治家サルバドール・ビクトリア氏の夫人、マイテ・ヒメネス氏(43歳)は2009年にカハ・マドリッド(金融機関)の理事の一人として任命された。当時、夫のサルバドール・ビクトリア氏はマドリード州政府の理事会書記長を務めており、マイテ・ヒメネス氏の就任に大きく影響したと批判されている。つまり夫の政治家関係のコネで理事会に入ったと言われている。理事というポジションはこの様なケースが多々あると言われている。ただ、カハ・マドリッド等の金融機関は昨今大変厳しい状況かつ過渡期を迎えている。本来はファイナンシャルの専門家がこのポジションに就くべきである。マイテ・ヒメネス氏は大学を卒業しておらず、金融および経営関係の教育を受けていない。デザインの勉強をし、秘書業務の職務経験を持つ。履歴書だけみると、適任者のプロフィールとはかけ離れている。現在、カハ・マドリッドの関連小会社の理事を務めており、年に4回程会議に出席し、食事代として1800ユーロ(税抜き)受け取っている。
スペインでは月収1000ユーロ前後の低収入所得者が多いことが最近話題になっており、月収1000ユーロ前後の収入所得者を“ミルエウリスタ(milleurista)”と呼んでいる(1000ユーロをスペイン語ではミルエウロスと言い、この言葉からきている)。この様な経済状況の中、エンチュフェを持っていない市民から批判を受けるのは当然であるように思える。このニュースに関して、PSOE(社会労働党)やIU(統一左翼)の他政党は特にコメントをしていない。どの政党も同様の事をしているから、お互い批判するコメントは避けていると考えられている。この様な悪習慣を見直さず、スペインの経済的競争力が上がるか疑問である。