カタルーニャ伝統“人間の塔”、子どもの「移籍」に新規則

移籍と言えばスペインではサッカーだが、14歳以下の「クラブ(Colla)移籍」に関する規則が新たに設けられたのは、カタルーニャ伝統の“Castellers(カステジェルス)”。 カタルーニャの祭りや行事に欠かせないのが、この人間タワー“カステジェルス”。老若男女が一段、また一段と体を張って積み上げていくこの伝統的な塔は、カタルーニャ全体に根付き親しまれている。街中の人たちに囲まれ歓声を浴びながらの見世物のためだけではなく、高さや完成度など厳しいポイントを争う競技に挑むため多くのクラブが日々練習に励んでいる。

そのためスポーツ並みにメンバー構成が重要なのは言うまでもないのだが、14歳以下のメンバーがクラブを変更するにあたりクラブ間で問題が生じた場合、カタルーニャ・カステジェルスクラブ・コーディネート協会(Coordinadora de Colles Castelleres de Catalunya)が解決の仲介を行うという規則がこの度決定した。

おもに大人の場合だが、強豪クラブへの所属変更がしばしば行われ、このところカステジェルス界でも「移籍」という言葉が一般化。自分たちがライバルクラブより不利になるのではと疑問の声も多い。子どものクラブ変更は大人ほど頻繁ではないものの、塔の上段に登る子ども達の影響力は大きい。特にEnxaneta(頂点に立つ子ども)は極めて高い身体能力と精神力が求められ非常に貴重な存在であるため、この「移籍」争いが幼い彼らにまで及んでいるようだ。

近年カステジェルスには、時流に適合すべきなど多数の議論がある。2006年の死亡事故をきっかけに、子どもメンバーの安全確保のためヘルメット着用が義務付けられたのもその一つ。また2011年、メンバーのシャツにスポンサー名を入れるかどうかが争われ、アマチュアリズムを守る理由で却下された。

個々の能力の集結と安全性を追求するカステジェルス、伝統文化であり伝統スポーツのようでもある。

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