マドリード教育費削減問題

マドリード州知事エスぺランサ・アギレが8月終わりに、公立の中等教育(12歳から始まる中学校、高校にあたる)機関、FP(公立専門学校にあたる)で働いている教員の授業時間を2時間増やすと発表して以来、マドリードは大変な騒ぎになっている。これにより、教員は今まで週18時間働いていたところを、20時間働かなければならない。その結果として3000人もの臨時職員が職を失うと言われている。エスぺランサ・アギレ州知事は、経済危機の今、今回の決定はやむえないものであり理解してほしいと対象職員に手紙を送った。その手紙によると今回の改正により8千万ユーロを節約する事ができると説明している。節約した8千万ユーロで教育の質を保つため、どうしても必要なものに費用に充てると言う。しかし、実際何に幾ら使用するかは公表されていない。

教員側組合はこの授業時間改正により授業の質が下がり、かつ失業者を増やすとして反対、デモを各地で行っている。授業時間は週18時間だが実際の労働時間は週37.5時間で、授業時間以外の9.5時間で授業の用意、試験の採点、ミーティング等に充てられており、この時間が減れば授業の質も落ちると言う。

先週は、アギレ知事の失言などで教員側の怒りは更に増し、デモの動きは日々広がっているようだ。一方、州側はデモの違法性を持ち出すなど、デモを抑制しようとし、一層両側の溝は深まっている。

教育に携わっていない者にとってこの2時間が実際に教員の努力で賄えるものなのか、それとも授業の質を下げるものなのか、判断がしづらいのが正直なところである。州の赤字問題は明らかで、どこかで予算を削減しなければいけないのも理解できる。ただ、どの様に予算を削減していくかは、今後かなり慎重に決めていく必要があるだろう。

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