マドリッド自治州のエスぺランサ・アギレ州知事は2008年に7つの新州立病院をマドリッドに設立したのだが、これらの病院に前代未聞の新しいシステムを導入した。この新システムとは、医療関係以外のすべての病院経営管理(運営、清掃、消毒、整備など)と建物の建築および管理を民間の企業に委託するというものである。民間企業に委託するという事は、良好な経営を行うという一方で、粗悪な経営を行い埋め合わせ時間が必要になっても企業自身が責任を負うというものだ。
そして、マドリッド州は、これら委託企業の経営管理が適切に機能しているかどうかを監視するための企業を新たに契約する事を発表した。新たな委託先は入札により決定され、12月から契約開始し、2年間で2400万ユーロの予算を組んでいると『エル・パイス紙』は報道している。新たに導入された現システムに対して、政府、委託企業、利用者それぞれ不満を抱えており、改善が必要とされていることが背景にあるようだ。
実を言うと、マドリッドでは前代未聞のことでも、公共事業の運営に民間企業が参入するのは世界中の様々な国で行われている。パブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)やプライベート・ファイナンシャル・イニシアティブ(PFI)など種類は様々で、公共事業のサービス向上、コスト削減、民間企業の促進等の目的で、官民共に利益があるwin-win状況を生み出すと期待されているものである。ただ、官民癒着や民間運営にも関わらず市場原理がうまく働いていないケース等まだまだ問題も多いようだ。
これからの本事業の展開が気になるところである。
*7つの州立病院: Puerta de Hierro (マハダオンダ), Infanta Cristina (パルラ), Henares (コスラダ), Infanta Leonor (バジェカス), Infanta Sofía (サン・セバスチャン・デ・レジェス), Sureste (アルガンダ) y Tajo (アランフエス)