ガリシア州の廃村に移住するチベット仏教僧

ガリシア州オウレンセ県には過疎化による廃村がいくつも存在し家屋や田畑が放置されている。

7年前に最後の住人が亡くなって以来、標高800mの内陸に位置し手付かずの大自然に囲まれているベントセーロという村は、そんな廃村のひとつとなっていた。この人声の消えた村になんとチベット仏教僧が近々移住してくるのである。近年の積極的なチベット仏教の世界との接触により、スペインにも約20のチベット仏教本部があり、メノルカ島の本部には実際にチベットからやってきたゲルク派の僧侶が住みスペインやヨーロッパで布教活動を行っている。

2006年、ガリシア州ビーゴ市にあるチベット仏教本部長でスペイン人のコンスタンティーノ・バレイロ氏が先頭に立って、僧侶が修行をしながら布教活動をする僧院建設にふさわしい場所を南ガリシアで探したところ、格安で購入出来るこの村の家屋を見つけた。

バレイロ氏はそれをスペインに全土のチベット仏教本部最高指導者テンジン・タンディン僧侶に打診したところ、それが認められ僧院建設の計画が始まった。

後援者や周辺の自治体の理解と協力により今年4月ようやく着工した僧院建設は少しずつだが進んでいる。崩れかかっていた400m²の広さを持つ石作りの家屋を修復利用し、建物南には5000m²の畑が広がり井戸からは天然水が汲める。

僧院が完成した際にはコー・スップ・ツァン僧侶がガリシア初のチベット仏教僧侶として住む事になっていて、僧侶の教えを聞きに年間100人程度がここを訪れる見込みだという。

バレイロ氏は「今後さらにネパールやインドから書物を取り寄せ、ヨーロッパ最大のチベット仏教書物の図書館も作る」と話している。

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