コスタ・デル・ソル名物が危機に

バケーションシーズン真っ盛りのコスタ・デル・ソルの中心地のひとつであるトレモリノス市の発表によると、同市で営業しているビーチ沿いに建てられた“チリンギート”(海の家風レストラン、バル)のうち24店の営業権がすでに期限切れになっているという。

 スペインでは環境省が定めた海から100メートル以内に建造物を建ててはいけないという海岸法という法律があり、ビーチ沿いにあるリゾート地ではこの海岸法の適用が大きな問題となっている。ヨーロッパ中から旅行客が集まるコスタ・デル・ソルでも例外ではなく、この海岸法がチリンギート存続に大きな影を落としている。

 現在トレモリノス市では、すでに営業権の切れたレストランのオーナーらと話し合いを行い、チリンギート撤去を目指しているという。しかし多くの旅行客にとって、コスタ・デル・ソルの名物である鰯を目の前で焼いてくれるチリンギートは観光の目玉のひとつともなっていることから、観光客減を心配するトレモリノス市にとって大きなジレンマとなっている。

 そのトレモリノス市は2011年6月、約46万2000人の旅行客が訪れコスタ・デル・ソルの中で最も旅行客の多い街となった。昨年は経済危機の影響もあり旅行者減に悩まされたコスタ・デル・ソルも、今年は6月時点で85%のホテルが埋まるなど順調に客足を伸ばしている。

 コスタ・デル・ソルの中で最も早く開発の始まったトレモリノス市にとって、チリンギート存続と、環境問題に配慮した海岸法の適用はこれからも大きな問題のひとつとなりそうだ。

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