Mes: diciembre 2015

ルカス・ペレスが止まらない

デポルティーボ・ラ・コルーニャのルカス・ペレスが止まらない。16節エイバル戦で得点を決めたスペイン人ストライカーは、通算得点数を12に伸ばした。ゴールランキングで彼の前にいるのは、バルセロナのネイマールとルイス・スアレスしかいない。クリスティアーノ・ロナウドもよりも1点多く決めているストライカーに、地元メディアのスペイン代表に招集すべきだという声は大きくなっている。 ルカス・ペレスは16節エイバル戦のゴールで6試合連続ゴールを達成し、デポルティーボ・ラ・コルーニャの伝説のストライカーに並んだ。1992-1993シーズンに6試合連続ゴールを達成したブラジル人ストライカー、ベベットだ。1994年ワールドカップ優勝メンバーはルカス・ペレスに対して「6試合連続ゴールおめでとう、ルカス・ペレス。この記録は20年以上前にデポルティーボ・ラ・コルーニャで僕が達成しただけだ。この素晴らしいチームの歴史にようこそ!」と祝福した。 デポルティーボ・ラ・コルーニャにとってはお買い得なストライカーだった。ラ・コルーニャ出身のルカス・ペレスだったが、プロフェッショナルとしてキャリアをスタートさせたのはラージョ・バジェカーノだった。その後、ウクライナに場所を移し、そしてギリシャのテッサロニキに1シーズン在籍。デポルティーボ・ラ・コルーニャは地元出身のストライカーを昨シーズンの開幕前に150万ユーロ(約1億9,000万円)を支払って獲得した。昨シーズンは21試合で6得点とサポーターから罵声を浴びることもあったが、今シーズンは開幕から好調で16試合で12得点をマーク。クラブとの間には契約は2019年まで残されており、違約金は2000万ユーロ(約27億円)に設定されている。もし冬の移籍市場で獲得を狙うクラブがあるのならば、これ以上の金額を支払わなければ、獲得はできないだろう。 27歳のストライカーはスペイン代表に招集されるだろうか。またベベットの記録を更新し、クラブ史に新たな歴史を残すのだろうか。

アルダがリネカーの名言をリメイク

12日に来年フランスで開催される「欧州選手権」の組み合わせ抽選会が行われた。出場国がこれまでの16チームから24チームに拡大され、開催される。出場枠が増えたことで、アルバニア、ウェールズ、アイスランド、スロバキア、北アイルランドと実に5チームの初出場国が参加する。 3連覇を狙うスペインはチェコ、トルコ、クロアチアと同じD組に分けられた。スペインの地元メディアは「危険なグループに入った」と分析をしている。トルコにはアルダ、クロアチアにはモドリッチ、ラキティッチ、コヴァチッチといったスペインの2大クラブで活躍する選手たちがいる。バルセロナに所属するアルダは、UEFAの大会公式ツイッターから抽選についての意見を求められると、こう返答した。 「困難な抽選になった。だけど、サッカーは22人の男が90分間ボールを追いかけ、そして最後に語るのはトルコだ。; )(笑顔のアイコン)」 アルダのこのコメントは、現役時代にバルセロナ、名古屋グランパスエイトでプレーしたイングランド人ストライカー、ゲリー・リネカーの有名なセリフを引用したものだった。 「サッカーは単純だ。22人の男が90分間ボールを追いかけ、そして最後にはドイツが勝つ。」 1986年のメキシコ・ワールドカップの得点王は、1990年のワールドカップでドイツに準決勝で敗れた後にそう語った。アルダはこの名言をベースに、アイコンをつけて、ユーモアを加えた。スペインら強豪と同居する難しいグループだが、アルダは勝ち抜けは自分たちのプレー次第だと語っている。 アルダはスペイン語を話し、このようにユーモアがある。今シーズンはFIFAの移籍禁止処分もあり、まだ公式戦に出場できていないが、シーズン後半戦で面白いコメントをするのではないだろうか。

エゴの衝突とバルセロナのトリデンテ

レアル・マドリードのスタープレーヤー、ベイルは5日に行われた14節ヘタフェ戦後のミックスゾーンでこうコメントした。「クリスティアーノ・ロナウドは世界最高の選手のひとりだ。毎シーズン、彼はそれを実証している。彼は世界最高の選手かって?それは君が考えることだよ。」 バルセロナ寄りのプレス『ムンド・デポルティーボ』や『スポルト』は、このコメントから「レアル・マドリードのロッカールームには、エゴ、自尊心の衝突がある」と書く。 かねてからレアル・マドリードの問題と指摘されるのが、クリスティアーノ・ロナウドのエゴだ。クリスティアーノ・ロナウドは、チームが勝とうが、自分がゴールを決められなければ、不平不満を態度に示す。決定機で味方が自分にパスをしなければ、罵声を直接、味方にぶつけなくても、天に向かって叫ぶ。ベイルが決定機でパスをせずにシュートをしたことに不満を示すシーンは、多くのマドリード寄りのメディア『マルカ』や『アス』でも大きく取り上げている。 チャンピオンズリーグのシャフタル・ドネツク戦でベイルがクリスティアーノ・ロナウドの得点をアシストし、ポルトガル人ストライカーがウェールズ人の手をがっしり握り、得点を祝った時に、2人のホットラインが成立したマドリードの寄りのメディアは大きく報じたが、その結束はベイルのコメントからも分かるようにそんなに強いものではないだろう。 少なくともバルセロナのトリデンテほどではない。ネイマールが「次のバロンドールはメッシが予約しているものだ」と言えば、ルイス・スアレスが「メッシがベストで、ネイマールが2番目だ」と公に発言するほど、彼らはそれぞれのタレント、パフォーマンスを尊重している。コメントだけではない。ピッチでも彼らは実証している。メッシがいない間にネイマール、ルイス・スアレスはゴールを量産しているが、メッシが帰還してからもあくまで10番を背負うアルゼンチン人が中心であるとブラジル人とウルグアイ人はピッチでも認識を示している。 一方のレアル・マドリードは、ベイルがトップ下でプレーしたいとリクエストし、フロレンティーノ・ペレス会長の後押しもあり、シーズン当初はトップ下でプレーしていたが機能しなかった。クリスティアーノ・ロナウドは、ラファ・ベニテス監督が会長の言いなりになってシステムをいじったことで自身のゴール数が低下したと不満をつのらしている。 バルセロナのトリデンテがフットボール史上に残るハイペースで得点を量産していることで、最大のライバルであるレアル・マドリードのスターアタッカーのエゴの衝突にさらに注目を集めている。 ベイルはさらにこうもコメントしていた。「僕はイングランドでさらに輝く。なぜならプレーがもっとダイレクトだからだ」 クリスティアーノ・ロナウドのエゴの強さもメディアでよく批評されるが、ベイルも大したものだ。ただある程度エゴがなければ、偉大なフットボーラーになれないのも事実だ。 ヨハン・クライフはバルセロナがネイマールを獲得した時に「ひとつの船にふたりの船頭を置くことはしない」とメッシとネイマールという2人の天才が共存するのは難しいと語った。フットボールではふたりの天才が並び立たないのは定説だった。西ドイツのオベラート、ギュンター・ネッツァー、ユーゴスラビアのストイコビッチ、サビチェビッチなどだ。しかし、バルセロナのスリートップ、3人の偉才がこのようにエゴを衝突させずにプレーし、定説をくつがえしている。そんな奇跡が起きたからこそ、彼らは史上最強と称えられるのかもしれない。

バルセロナと対戦して得る恩恵は60億円!?

コパ・デル・レイで2部B、もしくは3部グループ優勝チームが1部のチーム、特に絶大な人気を誇るバルセロナ、もしくはレアル・マドリードと当たることは、もはや宝くじを的中させるのと同じことのようだ。今シーズンのコパ・デル・レイで最大の幸運に恵まれたのは、ベスト32でバルセロナと対戦したビジャノベンセだ。 ビジャノベンセはホームで0-0、アウェーで6-1でバルセロナに敗れた。敗者となった2部B(実質3部)のチームだが、バルセロナと対戦したことで多くの恩恵を受けている。 そのひとつがクラブの普及、知名度の上昇だ。バルセロナと対戦することで注目が集まり、多くのメディアがこぞって取材をする。クラブの名前が国内はおろか、メディアを通じて、世界中に知れ渡る。仮にクラブ名をメディアで取り上げられた量だけ広告をするとなれば、地元紙『アス』の記事によれば、4600万ユーロ(約60億円)の広告費が必要だという。アセソという会社が研究で算出した。 バルセロナとの対戦が決まった10月16日の抽選の日から、11月30日のセカンドレグ2日前までにビジャノベンセ、もしくはクラブの本拠地とする町は8万4,735回以上、ニュースとなった。その広告価値は約60億円以上だ。クラブ、そしてスペインの小さいな町にとってはお金を使わないで、絶好のアピールの機会となったのだ。 セカンドレグ当日、試合後のニュースではさらに取り上げられるニュースの数は増えているだろう。バルセロナと対戦するだけで、大きな広告効果を得られる。選手たちは世界最高峰の選手たちとピッチで対峙できるという希望があり、クラブのディレクターやその町の市役所にも経済的な還元が期待できる絶好の機会となる。ニュースでバルセロナと対戦が決まった時、もう勝ち抜きの可能性は限りなく低いのでがっくり肩を落としてもいいはずなのに、ビジャノベンセの面々は誰もが宝くじに当たったように喜んでいた。この数字を聞けば、確かに彼らがあれだけ喜びのも無理はないと今は納得できる。