「喫煙OK」のバーがある村

今年の1月よりスペインでは、タバコに関する新しい法律が施行されている。それは「レストランやバーを含む屋内の公共スペースなどでの喫煙を禁止」するものだ。

しかしマドリード州にはその法律を無視し、いまだに大多数のバーで普通にタバコが吸える小さい村がある。その村の名前はトーレス・デ・ラ・アラメダ。マドリード北東にある世界遺産の町アルカラ・デ・エナーレス近くにある。

そこの住民にとって、喫煙のことは‘公然の秘密’になっている。住民の一人は「実際、他からここに来ている人がいる。なぜなら彼らの町のバーは禁煙だが、ここではタバコを吸うことができるから 」とコメントしていた。

またトーレス・デ・ラ・アラメダにある31のバーについて、住民たちは口々に「おおよそ半数のバーで喫煙できるようになっていて、夜は全ての場所で吸うことができるよ」と言っている。

これらのバーのオーナーの一人は、法律違反を訴える客の苦情に対応している麻薬取締り機関から19の通告を受けたことを認識している。しかし、今までマドリード州から経済的なペナルティを全く受けたことがないという。そのため「金銭的な制裁があるまで、私のバーでの喫煙を許可し続けるだろう」と主張していた。

また他のオーナーは「客を失わないためには、喫煙をOKにしなければならなかった」と説明していた。それには法律施行後、最初の数日間は適用したものの、他のバーが従わなかったので、喫煙を再び可能にしたという経緯があるようだ。そして「客を取り戻しただけでなく、以前は来ていなかった別の店の客を奪い取れた」とも説明している。

やはり酒を飲む時にタバコはつきもののようで、禁煙となると客足は遠のく。売り上げを落とさないための結果が、法律違反につながってしまったようだ。

マドリード州は近々、法律施行初年度の違反による苦情や罰金の数を記したデータを公表するだろう。しかしこういう村が存在するように、どこまでこの法律が遵守されているかは分からない。

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