その他スポーツ

中世の古城で繰り広げられる騎士の戦い

スペインには1500以上の古城が今も残されているが、これらの城を舞台にしたスポーツ、「Combate medieval(中世の合戦)*」がここ数年注目を集め始めている。 東欧で誕生したと言われるこの競技は、中世の騎士さながらの甲冑をつけて、剣、盾などを武器に「フルコンタクト」(手など身体の力で直接ぶつかり合う)で対戦するというもの。3対3、5対5、16対16、「Kill the King」など様式は様々。武器は切れないように加工されている。とはいえ武器も甲冑も本物を忠実に再現されており、重さも合計30kg近くと本格的だ。 今年9月27日には、カスティージャ・イ・ラマンチャ地方のクエンカ県ベルモンテ市で、15世紀建立のベルモンテ城を舞台に「Liga nacional de combate medieval (中世の合戦国内リーグ)」が開幕。マドリード、カスティージャ・ラ・マンチャ、カスティージャ・イ・レオン、アラゴン、カタルーニャ、アンダルシア、エクストレマドゥーラ、バレンシア、バレアレスの9自治州のチームが2ヶ月半にわたって戦いを繰り広げている。 ベルモンテでは今年5月に世界選手権も開催され、日本も含め19カ国から500人が参加。ベルモンテ城は兵営地と化し、中世の生活・文化が再現された市場や、当時の料理を再現したメニューが提供されるなど、およそ1万人の見物客を歓迎した。 中世の美しい古城をバックに繰り広げられる騎士の戦いは、スポーツ、格闘技ファンだけでなく、歴史、グルメ、建築、芸術、旅行の愛好家たちも楽しませてくれることだろう。 ■世界選手権のプロモーション動画 IT Foto Video ■中世の合戦国内リーグの公式サイト(英語・スペイン語) Liga nacional de combate medieval ■今後の一部リーグ合戦日程 2014年11月15-16日 2014年12月13-14日 *「Combate medieval(中世の合戦)」は、日本では「アーマードバトル」として紹介されている。

夏の納涼(?)イベント「全裸レース」

バルセロナの北東約20kmにある地中海岸の町プレミア・デ・マルは、毎年7月の夏祭りの時期になると、あるユニークなイベントで全国の注目を浴びる。そのイベントとは「Cursa a pèl」(裸レース)。名前のとおり、全裸で真夜中の街を走り抜けるレースだ。参加条件は、“スッポンポンで走ること”。もちろん、シューズは履いてもいい。第11回目を迎える今年は、7月14日(日)の午前2時30分からスタート。スポンサーであるアイスクリームショップの提供するリュックを持って、中心街の広場からビーチまでの約1マイル(約1.6km)を駆け抜ける。そのままビーチに飛び込むもよし、ゴールと同じ舞台で開催されるコンサートを楽しむもよし。老若男女が様々な色の肌を夜風にさらして走る姿はなんとも涼しげだ。 このレースが初めて開催されたのは今からちょうど10年前の2003年だった。同市の住民トニ・エストラデール氏が、テレビでオーストラリアの裸レースのドキュメンタリーを観て、同じようなイベントを地元でやれないかと考えたのがきっかけだった。当時の夏祭りの実行委員で、市議会議員のアントニオ・グティエレス氏は、ラ・バングアルディア紙とのインタビューで初回の開催についてこう説明している。「レースはナチュラリズムやヌーディズムとは全く関係ありません。ただ、祭りを楽しくしたい、というのが目的です」 実はその前年、プレミア・デ・マルという地名はある出来事がきっかけで全国に知られることになった。イスラム系移民の多く住むこの町で、モスクの建設をめぐって賛成派と反対派が衝突し、大々的なデモが行われたからだ。結局モスクは建設されず、町には「異文化を尊重しない町」とのレッテルが貼られてしまった。当時の市議会議員キム・カイメル氏は、同紙とのインタビューで、裸レースが町の汚名返上に一役買ったとの見解を述べている。「裸レースは革新的でクリエイティブ。異なる文化や考え方に寛容なイベントだ。おかげで、プレミアの名がポジティブな意味でニュースに出ることになった」 初回の参加者数は300人。その後も参加者数は500~600人に上り、今やすっかり名物レースとなった。今年の宣伝には、「野次馬も大歓迎!道を照らすのは君たちの懐中電灯だ!」とのメッセージも。スッポンポンの群衆が快走する姿は、きっと暑さを忘れさせてくれることだろう。

世界的に大人気のX-Games@バルセロナ!

1994年からアメリカで始まったすごくエキサイトな競技、X-Games!!以前は、エクストリーム・ゲーム(過激な離れ業を競うゲ-ム)と呼ばれていました。今では、よくテレビでも紹介されていて、世界中の若者に大人気のスポーツゲームです。 今年はここバルセロナで開催され、今日5月16日(木)から19日(日)の4日間、モンジュイックの丘にある、オリンピックスタジアム、パラウ・サンジョルディなど広大な施設を利用して、4種類のエキサイトなスポーツ競技の過激な戦いが繰り広げられます。 項目を簡単にご紹介すると・・・ BMX:モトクロス自転車の競技、4種目。 モトX:バイク競技、6種目。 ラリー:4輪自動車競技、2種目。 スケートボーディング:スケートボード競技、5種目。 それぞれに、金、銀、銅メダルのランク付けがあります。 参加者は、世界各地から集まる各国の優勝者ばかり。まさにこれこそ過激なオリンピック!!と言えそうな感じですが、昨年、ロサンゼルスで開催されたX-Gameで見事なロックソリッド・バックスリップを決め、モトXのフリ-スタイルで優勝を果たした日本人、東野貴行さんも参加されます。 是非、今年も優勝を目指して頑張ってください!!!! VIVA JAPON VIVA TAKAYUKI 入場券は15ユ-ロから35ユ-ロ、お得なパック券59ユ-ロもあります。 X-Gameバルセロナ情報 公式サイト:http://www.xgamesbarcelona.com/es/home.html 参考動画  http://videos.lavanguardia.com/deportes/20130515/54374089678/x-games-barcelona-deportes-extremos.html  

世界初のエコ・エネルギーボートでレースに参戦

5月19日(土)にバルセロナで開幕するボートレース、“Europa Warm Up”(ヨーロッパ・ウァーム・アップ)に、マヨルカ出身のボートレーサー、ハビエル・“ブビ”・サンソさんが、世界初となるクリーン・エネルギーを用いたボート「Acciona 100% Eco Powered(アクシオナ100%エコ・パワード)」で参戦することになった。   というのもサンソさんは、今秋11月10日から開催される“ヴェンデ・グローブ(Vendée Globe)”を前に、ソーラー・エネルギーを動力とするこのボートで実戦を経験しておきたいと考えているからだ。ヴァンデ・グローブは、4年に1度開催される世界で最も過酷なボートレースといわれ、約3カ月間、単独無寄航で世界を1周する競技。ボートを操る人間の経験や精神力を問われるレースだ。彼は2000年の大会にも参戦しているが、舵が折れてしまい、棄権を余儀なくされた。「2000年のヴァンデ・グローブで舵が折れた瞬間、次の大会に向けた準備が始まったんだ」と、サンソさんは語る。 それから12年、ヴェンデ・グローブの前哨戦として臨む“Europa Warm Up”。彼にとってこの大会は、もうひとつの狙いがあるという。それはこの大会で上位に食い込むことで、ディーゼルを動力としたボートを使用するレーサーたちに、環境汚染をすることなくボートを動かせることを証明したいというのだ。 「我々は、クリーン・エネルギーで動くボートが、400リットルものディーゼルを積んだボートと同等に競えることを証明したい。」 サンソさんが乗る「アクシオナ100%エコ・パワード」は、その名の通り100%クリーン・エネルギーで航行することが可能で、環境汚染につながる二酸化炭素(CO2)などの有害物質を排出しないことが特徴だ。12㎡のソーラーパネル搭載のボートは、日中に太陽エネルギーを貯蓄することで、夜の航行も可能となっている。また、必要な電力供給のために、波力エネルギーと風力エネルギーも有効利用する。このボートの開発には70人が携わり、完成まで3年の月日が費やされた。 今回の大会で「アクシオナ100%エコ・パワード」の性能を証明することができれば、サンソさんたちにとっても大きな収穫になるだけでなく、将来のボートレースにも大きな変革をもたらすことになるかもしれない。

101kmの挑戦!

日本でも岸壁の街として有名なマラガ県ロンダ市で、5月11日(金)から13日(日)にかけて、24時間で101kmを走破する“Los 101 de Ronda(ロス101デ・ロンダ)”というスポーツイベントが行われた。 このイベントは、もともとロンダに駐留するスペイン軍が、1995年に地元の人たちとの交流をかねて始めたのが起源ととなっており、今回で開催は15回目。1995年以降、ロンダに駐留するスペイン軍が、平和維持活動のために海外に派遣されていた2001年、2004年、2010年を除き、14回の開催で延べ52,000名が参加している。2011年に行われた前大会では、19の国と地域から420人の外国人も参加。また、今年のイベントでは、マラガ出身の政治家で、EU特使を務めるベルナルディーノ・レオン氏の参加を始め、約6,000名のプロ/アマチュア・ランナーが出場した。 この「101キロを走破する」というイベントは、個人あるいはグループで101kmを走ったり、マウンテンバイクやデュアスロン(ラン→バイク→ランの複合競技)で24時間以内のゴールを目指す。ルートは、ロンダ近郊の山間部に点在する白い村々を通過することになり、完走するには、体力のほかに気力も試される競技といえる。 非常に過酷なイベントである“ロス101デ・ロンダ”だが、参加者の多くは何年にも渡ってこのイベントに参加し続けている。この過酷なイベントがなぜ、これほど多くの人々を惹きつけてやまないのだろうか? 参加者たちは言う。「イベントが終わると2週間近くも全身が痛くて動くこともままならない。だけど走っている最中、徐々に限界を超えると、かえって気分が高揚してくる。もうこれは中毒としか言いようがない。」 おそらく走り続けることで脳内で分泌されるというエンドルフィンが、参加者たちを中毒にさせ、さらなる限界へと挑戦させる力になっているのだろう。 肉体と精神の限界に挑戦する、超過酷な“ロス101デ・ロンダ”。しかし、イベントの前夜祭では、スペイン軍主催のパーティーが催され、参加者たちも楽しいひと時を過ごすことができる。また、競技に際しても、5キロ毎に給水所が設けられ、医者やボランティアの医学生らが参加者の体調管理も行っている。 101キロという過酷な挑戦ではあるが、このイベントを通じ、精神力の強さを試してみるのもいいのではないだろうか?

町中がロックンロール♪

スペイン最大のスポーツイベントのひとつに数えられている伝統あるマドリード・マラソン。35回目となる今年より、装いを新たに世界最大のマラソンシリーズ「ロックンロール・マラソン」のマドリード大会として4月22日(日)にデビューすることとなった。 1998年にアメリカで始まったロックンロール・マラソンは「もっとマラソンを楽しむには音楽の生演奏と組み合わせみたら?」というシンプルなアイディアから始まった。参加者も観客もみんなが楽しめるマラソン大会として、あっという間に全米にマラソン旋風を巻き起こし、現在、アメリカ26都市で50万人以上が参加する大規模なマラソン大会シリーズとなっている。 コース各所に設置された21カ所のステージから流れる生演奏の音楽で、まさに街全体がロックンロール・パーティー状態となる。ハードロック・カフェとKiss FMが開催したコンクールで200組の中から選ばれた計21組のバンド、Ragdog(演奏ステージ:ヌエボス・ミニステリロス)やMaria Aguado(ステージ:クアトロ・カミーノス)、Ohenta y Cuatro(ステージ:ビルバオ・ロータリー)などが熱い音楽で大会を盛り上げる。 プロからアマチュアまで参加するこの大会は、コロン広場を9:00にスタート。街路樹が美しいカステジャーナ通りを抜け、レアル・マドリードのホームスタジアム、サンティアゴ・ベルナベウや王宮、0km地点のプエルタ・デル・ソル、緑地帯のカサ・デ・カンポ、レティーロ公園などのマドリードの観光スポットを巡るコースを走る。また初心者も楽しんで参加できる10kmマラソンも同時刻にスタートする。 アメリカのみで開催されていたロックンロール・マラソンシリーズは、4月15日のスコットランドで行われるエディンバラ・ハーフマラソンを皮切りに、ヨーロッパへ初上陸した。マドリード・マラソンは2番目となる。 今年9月にはポルトガルの首都リスボンにてハーフマラソンの開催が予定されており、今後ヨーロッパ各都市に大きく広がっていくだろう。 ■ロックンロール・マラソンマドリード大会に興味のある方は、 下記専用サイトから申込みが可能です(英語/西語) http://es.competitor.com/madrid/register/

カタルーニャの超人ランナー、自伝が欧州でベストセラーに

世界で誰よりも速くピレネー山脈、モンブラン、キリマンジャロを走り抜け、今もなお世界記録を更新し続ける24歳の“超人”ランナーの自伝が、欧州でベストセラーとなっている。著者は、サバデイ(バルセロナ)生まれのトレイルランナー、キリアン・ジョルネット。昨年3月にカタルーニャ語で出版された彼の自伝「Córrer o morir (走るか死ぬか)」は、発売わずか4カ月で第5刷とベストセラーを記録し、昨年7月にはスペイン語版、8月にはフランス語版が出版された。すでにイタリア、ポルトガル、ポーランド語にも翻訳され、スポーツ部門のベストセラーランキングにランクインしている。 北米、欧州では人気が上昇しつつあるものの、スペインでは依然としてマイナースポーツであるトレイルランニング(舗装されていない道を走る競技)。ロードレースでさえしんどいのに、わざわざ山の中を走るなんて…と首をかしげる人も多いことだろう。ところが、ピレネーの自然に囲まれて育ったキリアン少年が世界の頂点に立つまでのストーリーが一人称で語られる本書は、アスリートのみならず一般読者のハートもたちまち虜にしてしまった。美しく過酷な自然の中で“限界”に挑戦する著者の姿勢とたゆまぬ努力が、不況にあえぐ現代社会への“応援歌”として人々の心に響いたのかもしれない。 今をときめくFCバルセロナの主将カルレス・プジョル選手も、「克服へのインスピレーションと計り知れない精神力で、クレイジーにスポーツを愛する人間。この本を読んでそんな奴が本当にいることを知った」と推薦するこの自伝。読後、重い腰を上げて、無性に何かを成し遂げたくなる一冊だ。

F1界にも不況の影 カタルーニャサーキット隔年開催へ

カタルーニャからF1が消えたら...。ここ半年間、カタルーニャのモータースポーツファンを悩ませていたこのテーマに、ようやく暫定的な回答が出た。F1運営組織のCEOバーニー・エクレストン氏は3月8日、これまでモンメロー市(バルセロナ)とチェステ市(バレンシア)で毎シーズン行われていたグランプリについて、「2013年以降は各サーキットで1シーズン1度の交互開催で合意の方向」と発表したのだ。正式合意までにはまだ時間を要しそうだが、両サーキットは交互開催に前向きな姿勢を示している。 カタルーニャ州自治庁は昨年6月、今年いっぱいでモンメローサーキットにおけるF1開催が停止される可能性をほのめかしていた。理由は「不況」。州予算削減により、モンメローでの大会開催補助金に充てられていた予算が25%カットされたためである。州はこれまで、観客不足による赤字の80%を補てんしていたが、今後はこの補てんを中止する構えを示している。市民にとって最優先であるはずの医療、教育現場で予算が次々と削減されるこの不況下、「サーキットの赤字補てんをしている場合ではない」というわけだ。 交互開催に関する合意が発表されたとはいえ、モンメローサーキット、チェステサーキットの契約はそれぞれ2016年、2014年まで。今後の状況次第では、F1開催が厳しくなる可能性も十分ある。モンメローサーキットのスポークスマンは、F1存続のカギをにぎるのが「観客動員数」と指摘している。サーキットが満員になれば、補助金カットによる痛手も軽くすむからだ。開催サイドは早速、フリーパスや割引チケットなどの発売で観客増加を図っている。モンメローでの次回グランプリは5月13日。観客数が10万人を超えるかどうかに注目が集まる。

スペインで人気沸騰中のスポーツ「パデル」

スペインでは近年「パデル(パドルテニス)」が人気を集めている。スペインや中南米で注目を集めるこのスポーツは、国際パデル連盟の規定に基づいたルールで行われ、1982年に初の国際大会がウルグアイで開催された後、2005年にはスペインとアルゼンチンでプロツアーが開始された。 「パデル」は、縦20m×横10mのコートの四方が壁で囲まれ、壁にあたり跳ね返ったボールを打ち返すことが可能なテニスとスカッシュを混ぜ合わせた様なスポーツ。プレーが簡単かつシンプルなことが、若者だけでなく年配の人からも絶大な人気を集める要因となっている。 2007年に2万人を超えたスペインパデル協会の競技者登録数は、2010年には3万人を超え、各州に協会も設立され地方大会も充実したものとなってきた。パデルは、競技者数をみるとまだスペイン国内で22番目のスポーツとなっているが、近年は毎年、3千から5千人単位で増加している。さらに、協会に未登録のパデル愛好家はスペインに130万人近くいると予測され、2014年にはパデル競技者は300万人を超すとの予測もある。 パ デルの歴史は、1969年にメキシコのアカプルコでエンリケ・コルクエラが自身の所有する土地にコートを作り、草木がコート内に進入するのを防ぐ理由で四方を壁で覆ったことに発祥する。その後、彼の友人でスペイン人のアルホンソ・オエンロエがそれをスペイン、マルベージャに輸入し、さらには、同地を訪れたアルゼンチンのポロ(馬上のホッケー)の選手たちが70年代にアルゼンチンに持ち帰り、南米でのパデル発展へと繋がっていった。 現在、スペイン女子ランキング10位のバネッサ・アロンソ選手は、若い子どもたちにはパデルをプレーする前にテニスを薦めている。また、今までスポーツに縁が無かった主婦や年配の人がパデルを始めているように、年を取ってからでも遅くは無い、と話している。 スペインで増え続けるパデルコートとその競技者。健康志向の強い年長者の間で、日本でも人気が出てくるのも間もなくだろうか?

元マラソン選手、北極から南極まで2万1千キロを完走

スペインのアストゥリアス州出身の元男子マラソン選手、パット・ファルメールさん(48歳)は、約9ヶ月間かけて北極と南極を結ぶ約2万1千キロメートルを走り抜き、世界最南端の南極到着に成功した。 彼の挑戦は、「世界最長のマラソン~北極から南極までのチャリティラン~」と呼ばれ、赤十字など国際NGO団体への寄付金集めを目的としたもので、世界14カ国を走り抜いた結果、およそ10万ドルの寄付金を集めることができたという。 昨年4月2日に北極最北端をスタートし、旅の最中には北極クマに遭遇したり、ペルーの砂漠で迷ったり、軍隊やマフィアに遭遇したりと、体力面以外の困難もあったようだが、1日平均80キロメートルを走り続け、1月19日に世界最南端に到着した。 フェルメールさんは、また、「今回の挑戦は非常に苦しいものだったが、アフリカや東ティモール、南米など、飲料水がない地域や、洪水、地震、火事など自然災害の被害にあった地域、食糧不足の地域にも苦しんでいる人々はいる」ともコメントした。 フェルメールさんはアメリカの南極基地で休んだ後、20日には南米チリに渡り、アメリカ大陸最南端のアルゼンチンの都市ティエラ・デ・フエゴまでのさらに2500キロメートルのマラソンに挑戦している。

街の広場からサッカーを消した“あのスポーツ”とは?

FCバルセロナの活躍により、今やバルセロナはサッカーの代名詞となっているが、バルセロナ郊外にサッカーと人気を二分するスポーツが流行っているのをご存じだろうか。バルセロナの隣町、バダロナ市のラ・サル地区では、ここ数年広場の主役がサッカーから「クリケット」に移行しつつある。そう、あのイギリス生まれの“紳士のスポーツ”、クリケットである。 同地区周辺では、数年前から中国、パキスタン、インド、バングラディッシュといったアジアからの移民が増加している。中でも急増中のパキスタン住民は、食料品店、レストランなどを開業したり、貯蓄を不動産に投資し他の移民に賃貸したりと積極的にビジネスを展開。不況の中、「1セントでも安いパン」を求めてパキスタン人の経営する店までわざわざ足を運ぶ地元住民も増えている。個人経営の店が続々と閉業に追い込まれる中、パキスタン人の店には行列、という光景もめずらしくない。 移民社会が形成されれば、自然とスポーツチームも生まれるもの。クリケットW杯の上位常連国であるインド、パキスタンから来た人々にとって、このスポーツはまさに生活の一部だ。チームが増えれば試合もできる。試合をすれば、人が集まる。少数派ゆえ、プロリーグもなければ、大規模な大会が開催されるわけでもない。それでも、通りのあちこちには試合のポスターも貼られている 。クリケットの他、サッカーやカバディ(インドの国技)の試合まで企画されることもある。もちろん、遠国スペインの移民街にクリケットのフィールドなどあるわけがないが、野球場がなくてもキャッチボールや三角ベースができるように、子どもたちは元気に広場でスティックを振る。サッカー派はとっくにストリートから地元チームのピッチに流れてしまったのだから、スペースに不足はない。交通ルールなどあってないような国から来たアジア系移民の中に、「車が危ない」と注意する親はまずいないだろう。 サッカーに次いで2番目に競技人口の多いと言われる「クリケット」。インドとパキスタンとバングラディッシュの人口を合わせると、中国を軽く抜いてしまう。サッカー王国でクリケットはどこまで頑張れるのか。ひょっとすると、クリケットとサッカーを足した新しいスポーツが生まれる日が来るかもしれない。

もうひとつのチャンピオン

マドリードと言えば、真っ先にレアル・マドリードを思い出す人がいるだろう。しかしこの地域にはもう一つ、世界トップのスポーツクラブがある。その名は「インテル・モビスター」。フットサル(スペインだとフットボール・サラと呼ばれる)の世界で燦然とした記録を持ち続ける、世界トップクラブである。 「インテル・モビスター」は、マドリードの中心駅アトーチャからRenfe(近郊列車)で約35分の街、アルカラ・デ・エナーレスを本拠地としている。1977年に創立し、リーガが開始された1979年(1989年から現在のリーガに変更)からこれまでの23年間で、国内タイトルはリーガ17回、コパ・デ・エスパーニャ10回、スーペルコパ・デ・エスパーニャ10回、国外タイトルは、UEFAカップ4回、レコパ1回、インターナショナルカップ5回、コパ・イベリア2回を獲得。その数実に47になる。このようにインテルは国内外のタイトルを総なめにし、その経歴は他の追随を全く許していない。 しかし近年はバルセロナの台頭、ベテラン選手の移籍による若返りが続いている。昨シーズンのリーガでは準々決勝で敗退、タイトルはインターナショナルカップのみと思わしい成績を残せていない。2007-2008シーズンが最後のリーガ優勝と遠ざかっている。 今シーズンはすでに、リーガ開幕前のスーペル・コパでバルセロナを倒し、タイトル獲得の好発進。またクラブは年間パスを50ユーロ(1ユーロ105円計算で約5,250円)で販売、さらに同伴者にプラス1ユーロで年間パスを販売と太っ腹なキャンペーンを行った。それが功を奏したのか、先月のバルセロナとの大一番となったリーガのホームゲームには、 4,500名収容の会場がほぼ満員となった。結果は1対1。それでもリーガは昨シーズン同様苦戦しており、第11節消化時点で5勝3分2敗。首位バルセロナとの勝ち点8差の6位(16チーム中)と振るっていない。しかし2名のGKルイス・アマド、フアンホ、また、オルティス、アルバロ、ポラ、マトモロスとスペイン代表6名を擁すインテルの大きな巻き返しが今後期待されることだろう。スペイン代表は過去2回のワールドカップで優勝。前回の2008年ワールドカップは準優勝。次回は2012年タイ大会である。 マドリードに立ち寄った際は、サッカーだけでなく、日本でもフットサルのリーグができたことだし本場のフットサルがどういったものかを堪能してみるのもいいだろう。インテル・モビスターの入場料は通常全席自由席で7ユーロ(約735円)である。

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