Mes: junio 2015

昇格とプロポーズに沸いたウエスカ

スペインリーグ2部Bにいたウエスカが、来シーズンの2部昇格を決めた。ウエスカは2008-2009シーズンから2部にいたが、2012-2013シーズンで21位となり、2部Bに降格。実に3シーズンぶりに2部の舞台に帰ってきた。 本拠地で2部昇格を決めたウエスカは、サポーターと共に選手たちもピッチで喜びを分かち合っていた。選手たちの家族、恋人たちも歓喜の瞬間を共にしていた。そんな中、全く違う喜びを周りに提供した選手がいる。ウエスカのホセ・マヌエル・ロハスだ。彼は会場のマイクを使い、他のチームメイト同様に昇格の喜びをコメントしていた。違ったのは、その後だ。 突然、芝生に膝を突き、手に指輪が入った小箱を開けて、目の前にいる恋人にプロポーズしたのだ。昇格に沸くチームメイト全員が見守る前での突然のプロポーズ。自分の仕事での目的を達成したら、人生の重大な決断もここでしようと考えていたのだろう。 恋人は突然の出来事にリアクションがとれず、両手を顔に当て、ただ驚くだけだった。恋人の仕事での成功を祝っていたら、突然自分に人生で最も幸福な瞬間の1つが訪れた。彼女は全く予想していなかったに違いない。 選手はマイクで返答を求めた。それに対して恋人は「私も結婚したいわ」と返事する。瞬時に会場は昇格と同時にもう一つの大きな喜びに包まれた。 クラブにとって歴史的な1日でもある。ホセ・マヌエル・ロハス(その彼女も)はプロポーズした日を忘れることはないだろう。 それにしても、もし昇格できていなかったら、プロポーズは来年に持ち越されていたのだろうか?

来シーズン1部に帰還する40歳のゲームメーカー

21日にスペインリーグ1部昇格戦プレーオフが行われ、ラス・パルマスがホームでサラゴサに2-0で勝利。1戦目を1-3で落としていたがアウェーゴールにより、ラス・パルマスが来シーズン1部昇格が決定した。 ラス・パルマスは3シーズン連続でプレーオフに挑戦しており、3度目の正直となった。特に昨シーズンは、勝てば昇格が決まるプレーオフの最後のゲームで、リードしている終盤にサポーターがピッチに侵入し、試合は中断した。その後再開したゲームでコルドバにゴールを奪われ、土壇場で昇格を逃している。どんなシナリオライターも書けないような悲劇を体験していたのだ。そんな苦しい経験を経て、実に13年ぶりの1部昇格を果たした。 来シーズンはベティス、スポルティング・ヒホン、そしてラス・パルマスが1部でプレーする。2部はレギュラーシーズン1位と2位が1部自動昇格。そして最後の一枠を争い、3位から6位の4チームがホーム&アウェーによるトーナメント形式のプレーオフを行う。4位のラス・パルマスが今シーズンはプレーオフを勝ち抜き、1部昇格の権利を手にした。 ラス・パルマスの昇格で注目を浴びるのが、元スペイン代表のフアン・カルロス・バレロンだ。デポルティーボ・ラ・コルーニャの黄金期を語る上で欠かせないゲームメーカーは、2013年に出身地であり、古巣でもあるラス・パルマスに復帰。それから2シーズン、チームを1部に昇格させたメンバーの1人となった。 1975年6月17日生まれのバレロンは現在40歳。この1部昇格が決まったゲームではベンチにはいたが、ピッチには立っていなかった。しかし、同クラブのミゲル・アンヘル・ラミレス会長は来シーズンもバレロンがチームにいることを明言した。「バレロンはもう1シーズン、私たちといることになる。なぜなら、1部の全てのスタジアムで別れを言える選手に値するからだ」。その言葉を聞いたバレロンは、「会長がそう言った、彼が全てを決めるんだ。僕にとっては最高だよ」とメディアを通じて返答している。 40歳になったバレロンが来シーズン、国内の最高カテゴリーの舞台に帰ってくる。現役最後になるであろうシーズンにどんなプレーを見せてくれるのだろうか。来シーズンのリーガ・エスパニョーラの大きな見所の1つだ。

データが裏づけるより完全な選手となったメッシ

3冠を達成したバルセロナのエース、リオネル・メッシ。昨シーズンは不調と言われたが、今シーズンはその汚名を払拭するパフォーマンスを示し、チームを国内と欧州で高みに導いた。ゴールを奪うだけでなく、アシストし、同僚を活かす術を覚え、さらに完全な選手へと変貌と遂げた。 メッシは昨シーズンと今シーズンではどう違ったのか。スペイン紙『エル・パイス』が数字を並べて紹介している。内容は、グアルディオラが指揮した2011-2012シーズン、ヘラルド・マルティーノが率いた2013-2014シーズン、そしてルイス・エンリケがベンチに座った今シーズンの3つのスペインリーグでの数字が比較されている。 メッシが最も出場時間が長ったのは2011-2012シーズンで3,628分だった。昨シーズンは2,621分で、今シーズンは3,375分だった。また最もピッチ上で長い距離を走ったシーズンも2011-2012シーズンで8,083メートルで、昨シーズンは7,356メートル、今シーズンは7,778メートルだった。最もファウルをしたシーズンも2011-2012シーズンで27、今シーズンは25だった。また得点数も2011-2012シーズンが最も多く50ゴールで、今シーズンは43得点だった。 今シーズンのメッシで過去3シーズンの中で最もいい数字はボールを奪取した回数と決定機をつくった回数だ。メッシは今シーズン、105回相手からボールを奪っている。2011-2012シーズンは77回、昨シーズンは38回だった。またゴールチャンスは今シーズン95回つくっており、2011-2012シーズンは92回、昨シーズンは75回だった。 メッシのスプリントした距離も増えた。時速21キロ以上のスピードで走った総距離は2011-2012シーズンが436,5メートル、2013-2014シーズンが375メートル、そして今シーズンは519メートルだった。トップスピードでのプレーの距離が最も長かったのも今シーズンだった。 このようにグアルディオラが指揮したシーズンのメッシと今シーズンのメッシのパフォーマンスにおいて、得点数や決定機演出の数は変わらない。唯一大きく数字が違うのは、ボールを奪取した回数だ。今シーズンは飛躍的に増えた。より完全な選手になったという印象はこのデータからも裏づけられている。 <過去3シーズンのメッシのデータ>            2011-12/ 2013-14/ 2014-15 出場時間:      3,628分/  2,621分/ 3,375分 走行距離:      8,083m/  7,356m / 7,778m ファウル数:      27回/  -     /  25回 得点数:       50得点/  -     /  43得点 ボールを奪取した回数: 77回/  38回  /  105回 ゴールチャンス演出回数:92回/  75回  /  95回 スプリント距離:   436,5m/  375m  /  519m

【番組】TBS「情熱大陸~花絵師 藤川靖彦」

ノバジカがスペイン・ガリシア州での取材撮影に協力させていただいた番組が今週日曜日に放送されます。ぜひご覧ください! ■番組名:情熱大陸 花絵師 藤川靖彦 ■放送波:TBSテレビ系列局 ■放送日時:2015年6月21日 (日)23:10 ~ 23:40 ■番組概要(公式サイトより):  まるでレスラーのような男の職業は花絵師 “インフィオラータ” 大地をキャンバスに見立て、およそ100平方メートルの空間に花びらや草木だけを使って作る巨大な花絵“インフィオラータ”。描かれる絵のほとんどはキリストの宗教画だ。市民アートとして400年前にイタリアで発祥し、キリスト教の祭典として親しまれてきた。その伝統あるインフィオラータの世界に新風を巻き起こしたのが、レスラーのような風貌の男、藤川靖彦だ。 日本伝統の浮世絵をアレンジし、“花歌舞伎”と呼ばれる独自の作風を生み出した。型破りとも言える藤川の作品に世界中の花絵師たちが度肝を抜かれた。インフィオラータの本場イタリアでは、あのローマ法王をも虜にし、昨年はサンピエトロ寺院にVIPとして招かれたほどだ。さらに今年の6月、藤川はスペインで開催される世界最高峰と言われるインフィオラータの祭典に招かれていた…。 番組では、新作の“花歌舞伎”を携えスペインに乗り込んだ藤川に密着。夜を徹し12時間かけて作り上げるという壮絶な制作現場に同行。「作った後は起き上がれなくなる…」という程に、極限まで肉体を追い込み、花のイマジネーションを探り続ける藤川の真剣勝負に迫った。 ※番組公式サイト:「情熱大陸~藤川靖彦」  http://www.mbs.jp/jounetsu/ <花絵師 藤川靖彦氏プロフィール> 1961年4月、東京 世田谷生まれ。日大芸術学部演劇学科を卒業後、CM音楽の作曲やイベントプロデューサーとして幅広く活躍。バブルの崩壊と共に仕事が激減し一家心中を考えるほど絶望する。転機は39歳のとき。都市開発事業のイベントプロデュースを任され世界各地の花の祭典をリサーチする中で、インフィオラータの存在を知る。すぐさまイタリアを訪問した藤川は、インフィオラータの魅力に取り憑かれ、以来イタリアの花絵師のもとで修業を積み、現在までに160作を越えるインフィオラータを手がける。

バルセロナの祝賀会に参加していた元R・マドリードの選手

バルセロナとレアル・マドリードは永遠のライバルだ。今シーズンは、バルセロナがリーガ・エスパニョーラ、国王杯、そしてチャンピオンズリーグを制覇し、クラブ2度目となる3冠を達成した。3冠を2度も成し遂げたチームは、フットボールの歴史において初めてだ。 一方、レアル・マドリードは序盤は好調だったが、2015年に入って全てが変わった。コンディションの低下や、モドリッチ、ハメス・ロドリゲスら負傷者が続出した。それだけでなく、アトレティコ・マドリードに大敗した直後にクリスティアーノ・ロナウドが盛大な誕生日パーティーを実施するなど、マドリディスタからブーイングを浴びたゲームもあった。しまいには、バルセロナの優勝セレモニーでピケにその誕生日パーティーを蒸し返され、笑いものにされた。バルセロナの偉業が、レアル・マドリードの来シーズンへの闘争心をかきたてることは間違いないだろう。 そんなライバル関係にある両クラブだが、チャンピオンズリーグ決勝後にベルリンの旧空港で行われた盛大な祝賀会に参加していた元レアル・マドリードの選手がいた。ドイツ代表で現在はイングランドのアーセナルに所属するエジルだ。祝賀会には2,000人の招待客がおり、その一人がエジルだった。ドイツ代表ミッドフィルダーを招待したのは、ネイマールだ。ドイツ紙『ビルド』が伝えていた。ネイマールはエジルのプレースタイルが好きで、2人の間には親交があったようだ。エジルはドイツ代表に合流する機会を利用して、シャルケに所属するドラクスラーとパーティーに参加。朝の6時まで楽しんでいたという。 エジルはレアル・マドリードに加入する前に、「小さな頃からバルセロナのファンだった。僕の夢のクラブだし、いつの日か、メッシの横でプレーしたい。」と公言していたほどだった。レアル・マドリードの選手になってからは、そういうコメントはしていないが、エジルは今でも心のどこかでバルセロナが好きなのかもしれない。

数字で見る偉大なるシャビの業績

シャビが今シーズン限りでバルセロナを退団することを発表した。シャビは1998年に当時のトップチームのオランダ人監督ファン・ハールに起用され、トップチームにデビュー。それから17シーズン、バルセロナで中心選手としてプレー。今シーズンは先発出場機会は減ったが、キャプテンとしてチームをけん引した。2015年最初のゲームでメッシとルイス・エンリケが衝突した時に仲裁に入り、タイトル獲得に向けて、チームを一丸にしたのはシャビだったと地元メディアは振り返っている。 バルセロナで残すゲームは、チャンピオンズリーグ決勝だけ。シャビが出場するかはわからないが、これまでに彼が残してきた数字を追っていきたい。 ・リーガ出場試合数505試合57得点。 ・ヨーロッパカップ戦169試合13得点。 ・国王杯70試合9得点。 ・クラブワールドカップなどその他22試合4得点。   シャビはバルセロナの選手として766試合に出場し、657試合は先発だった。バルセロナのクラブ史上、最も多く公式戦をプレーした選手であり、リーガで322勝とバルセロナで最も勝利を手にした選手でもある。また現時点ではレアル・マドリードのイケル・カシージャスと並び、最もチャンピオンズリーグでプレーした選手となった。シャビは150試合、欧州クラブ最高の舞台でプレーしている。またエスパニョールとの“ダービー”を最も経験した選手で、これまでに30試合プレーした。 獲得したタイトルはリーガ8回、スペインスーパーカップ6回、チャンピオンズリーグ3回、国王杯3回、クラブワールドカップ2回、ヨーロッパ・スーパーカップ2回。バルセロナの選手で最多タイトルを獲得した選手だ。 シャビはさらにスペイン代表で133試合12得点を記録。ワールドカップ、欧州選手権2回と代表チームでも世界王者、欧州王者に輝いている。 ストライカーではないので、ゴールというわかりやすい数字は残せていないが、出場試合数、タイトル数と誰もが目を見張る記録を残している。 2010年、スペインがワールドカップを制覇した時に、選手個人にとって最高の栄誉と位置づけられているバロンドールを勝ち取れなかったのは残念だったが、今のクレ(バルセロナファンの愛称)たちは遠い未来に孫にこう言うだろう。 「メッシがプレーするところも見た。しかも、おじいちゃんはこの眼でシャビもカンプ・ノウで見たんだよ」