アトレティコ・マドリードに情熱を取り戻させたジエゴ・コスタ

プレミアリーグで、チェルシーにリーグタイトルをもたらしたストライカーだ。その能力に疑う余地はない。でもそうとは分かっていながらも、昨季が終わってからバカンスを約4カ月続け、みるみるうちに太っていく姿を見たら、疑念が生まれるのも当然だ。2014年に実に18年ぶりにアトレティコ・マドリードをリーガ制覇に導いてくれたエースだが、かつてのような活躍はできるのか。9月27日に入団が決まったが、補強禁止処分のため、1月まで公式戦ではプレーは出来ない。オーバーウエイトを解消しても、試合勘の欠如が露呈する可能性は高い。1月からすんなりとは活躍できないのではないか。

そんな心配は杞憂に終わった。3年ぶりにロヒブランコスに袖を通したジエゴ・コスタは、かつてと全く変わらない迫力をピッチで示している。半年間ピッチを離れていたこともあるのだろう。試合に対する飢えを発している。彼のそんな熱が、チームを進化させている。2018年になってから、グリーズマンではなくスペイン国籍を持つブラジル人ストライカーが、すっかりチームの顔となっている。

ウエイトオーバーも予定通りに解消された。ディエゴ・シメオネ監督が抱える情熱的な名物フィジカルコーチ、オルテガによる個別のメニューもあって、入団時は90キロあった体重が筋肉量を落とさずに80キロになった。ジエゴ・コスタはチームトレーニング以外でも同僚のフェルナンド・トーレスが経営するジムに通い、ボクシングなどそのパワーを高めるトレーニングもこなしていた。

ベストフォームを取り戻したジエゴ・コスタは、1月3日のアトレティコ・マドリード復帰戦となったコパ・デル・レイのジェイダ戦で得点を決めるとその3日後に行われたヘタフェ戦でもゴールを決めた。ゴール後に看板を越えて、ゴール裏のスタンドのサポーターと喜びを分かち合ったことで、2枚目のイエローカードを提示され、退場となったが、いかにも暴れん坊のジエゴ・コスタらしかった。

らしさと言えば、ジエゴ・コスタが決めれば、アトレティコ・マドリードは負けないというかつてあった通説も復活している。スペイン紙「アス」によれば、ジエゴ・コスタはヘタフェ戦までにアトレティコ・マドリードの選手として公式戦53試合で得点を決めている。そしてジエゴ・コスタが決めたゲームで、アトレティコ・マドリードは50勝2分1敗という戦績を残している。勝率は94,4パーセント。「ジエゴ・コスタのゴール=アトレティコ・マドリードの勝利」という方程式は過言ではない。現在はジエゴ・コスタが得点を決めた試合は36試合連続勝利している。

ジエゴ・コスタのアトレティコ・マドリード復帰は、ワールドカップに挑むスペイン代表にとっても吉報だ。コケはアトレティコ・マドリードでジエゴ・コスタの得点を最もアシストしている。これまでにジエゴ・コスタの得点を15回アシストしている。グリーズマンは12回、フェルナンド・トーレスは8回だ。コケにとって最も相性がいいストライカーはジエゴ・コスタだ。スペイン代表でもスタメンを奪いつつあるコケにとってスペイン代表でも前線にジエゴ・コスタが張ってくれることは好ましいに違いない。クラブでのホットラインが代表でも活用できる。チェルシーで結果を残しているモラタとポジションを争うことになるであろうジエゴ・コスタにとってもコケの存在は代表でスタメンを手にする上でアドバンテージとなる。ジエゴ・コスタはアトレティコ・マドリードだけに留まらず、スペイン代表にも大きな熱を加えようとしている。

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