チームとサポーターの絆、レバンテのサプライズ

サポーターがあってのチームであり、チームあってのサポーターだ。低調なプレーに罵声を飛ばす時もあれば、心ない野次に思わず選手が醜いリアクションをしてしまうこともあるが、同じ目的を持った両者は相思相愛の関係だ。チームが勝てば喜び、負ければ落胆する。スタンドには老若男女がおり、人生の大半の週末を同じ場所で、同じ色のユニフォームに声援を送り、喜怒哀楽を共にする。そんなチームと地元サポーターの絆の深さに、時に思わず心がほっこりしてしまうニュースがある。

 例えば4月29日に1部昇格を決めたレバンテだ。レバンテは昨シーズンに降格の憂き目にあったが、わずか1シーズンでトップカテゴリーに帰還した。残り6節を残して、自動昇格である2位以上の座を早々と保持した。レバンテは開幕から勢いに乗り、勝点を積み重ねた。36節のホームでのオビエド戦では、試合終了の笛がなるとスタンドにいる人々がピッチに入り、選手たちと1部復帰を祝った。

 クラブは降格したが、それでも変わらずに声援を送ってくれたサポーターに感謝の気持ちを込めて、あるキャンペーンを発表した。レバンテは今シーズンの年間シートを持っているサポーターで、ホームゲームに85パーセント以上来場してくれた人に来シーズンの年間シートを無料で提供するというサプライズだ。レバンテは今シーズンの年間シート購入者が1万5,400人おり、1万2,500人の年間シート購入者がその資格を手にすると地元紙は報じている。2部に降格しても、声援を絶やさなかったサポーターに対するクラブの姿勢にレバンテのサポーターだけでなく、スペイン国内から称賛の声が集まっている。

 2009にリーマン・ショックの余波により、スペインは深刻な経済危機に陥り、職を失う人が多く現れた。職を失えば、もちろん年間シートを購入する経済的な余裕もなくなる。ビジャレアルは年間シート保持者でこの時期に職を失った人に対して、2010-2011シーズンの年間シートを無料で更新できるというキャンペーンを発表した。ビジャレアルが本拠地とする地域は、セラミックが産業の中心であり、失業率はスペイン中で最も高い46,7パーセントまで上昇した。ビジャレアルはその状況を鑑みて、キャンペーンを始めた。ビジャレアルは今シーズンのリーガ最優秀サポーターに選出されたが、エスタディオ・デ・ラ・セラミカで声を枯らして応援するサポーターの中にはその時のクラブへの感謝に報いようと応援をし続ける多くの人がいるはずだ。

 普段は目の敵にしている他チームのことでも、こういう出来事は他チームのサポーターの心もほっこりさせている。

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