音楽隊としてメスタージャを踏んだ16歳スペイン代表

バレンシアに将来を嘱望されるセンターバックがいる。カルロス・バダルという名のスペイン人センターバックで、バレンシアのユースAに属している。彼はU-16とU-17スペイン代表歴のある16歳だ。今シーズンはバレンシアのユースチームの選手として、チャンピオンズ・ユースリーグでもプレーしていた。その彼が18節レアル・マドリード戦でメスタージャのピッチを踏んだ。選手としてではない。試合前にピッチを盛り上げる“音楽隊の一員”として、フォルンを持って、メスタージャの芝生の上を革靴で歩いたのだ。

メスタージャでは試合前にバレンシア州の各町の音楽隊がゲームの盛り上げ役を担当する。クラブの伝統だ。ピーター・リムがオーナーになってからは、チームのバスが到着する時にもその音楽でサポーターやチームを盛り上げていた。

レアル・マドリード戦当日、カルロス・バダルは出身地ビジャヌエバという町の75名の音楽隊の一員として、トップチームを応援した。スペインの世代別代表に選出されるだけあり、周りの楽器を持つ子供に比べて、身体は一際大きく、目立っていたという。

カルロス・バダルは6歳の頃から音楽教室に通っていた。サッカー選手としてもその評価は高く、スペインはもちろん、欧州の各クラブが熱視線を送るタレントだ。昨夏までディレクターだったフランシスコ・ルフェテはそんな逸材を逃さないように違約金を800万ユーロ(約10億円)に設定し、4年契約を結んでいた。

将来を嘱望される逸材は、近い将来、フォルンではなく、足にスパイクを履き、音楽隊の奏でる音に励まされ、そのクラブエンブレムを守るためにメスタージャのピッチに立つだろう。

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