選手、監督だけではないフットボール

国王杯ベスト16・ファーストレグでレアル・マドリードに完勝したアトレティコ・マドリード。ピッチ脇のテクニカルエリアではゴールの後に、ボールボーイのビブスを着た少年がディエゴ・シメオネ監督に抱きついていた。しかし何を隠そうこのボールボーイは指揮官の息子だった。家族でゴールの喜びを分かち合っていた。得点に親子で熱狂するこのシーンは何度もニュースでも流れていた。

だが、シメオネのもうひとりの息子は全く違った形でメディアに取り上げられている。父親のチームの勝利を自身のツィッターで祝福したが、その投稿内容は冗談が行き過ぎて、ライバルチームを挑発するものになってしまった。すぐさまシメオネの息子、ジャンルカは自身の誤りを認め、謝罪した。

ソーシャルネットワークが発達し、個人がフェイスブックやツィッター、インスタグラムでそれぞれが意見、感想など自由に表明できる時代になった。今までは公にならなかった選手、監督の親族のコメントまで注目されるようになった。もし純粋にひとりの熱狂的なファンで試合の感想をコメントしていても、選手や監督に親しい関係者というだけでメディアに取り上げられ、小さいなことも大きくされてしまう。

ここ数日のメッシのチェルシーの移籍に関する報道もそうだ。移籍の重要な要員としてセスクとメッシのパートナー同士が仲がいいので、それも大きな後押しとなると伝えられた。セスクのパートナーがインスタグラムで「いいね!」をしただけでニュースになる。

便利で、世界中の誰とでも瞬時にコミュニケーションや連絡ができ、近況を共有できるようになったが、注目を集めるフットボール選手の家族や恋人にとっては投稿ひとつも気を抜けない世の中になっている。そのうち、選手や監督だけでなく、その家族にもソーシャルネットワークの利用術といった講習会がシーズン前にクラブから行われるようになるのだろう。

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