バスク対カタルーニャ、政治とスポーツは密接な関係

12月28日にサン・マメスで親善試合が行なわれる。バスク代表がカタルーニャ代表を迎えるゲームは満員になりそうだ。チケットが発売されて最初の3日間ですでに2万枚以上が売れており、すでにサン・マメスのスタンドの40パーセントが埋まる計算になると地元メディアでは報道されている。チケットが20~25ユーロ(約2,950~3,700円)と安く設定されていることもあるが、売れ行きは好調だ。

近年は国内経済の危機もあり、スペインでは各自治州の独立の機運が高まっている。特にフランコ独裁体制時に言語や文化への弾圧を受けたカタルーニャ、バスクは他に比べ独立意識が高い。カタルーニャ州は今年11月9日に民意調査ということで住民投票が行われた。投票率は35パーセントと低くかった。意識調査なので独立を支持する人だけが投票にかけつけた可能性は否めないが、8割が独立を支持するものだった。元バルセロナのグアルディオラ監督がドイツから駆けつけた姿やバルセロナのディフェンダー、ピケが投票する姿はメディアで話題となった。

今シーズンの9月13日に行われたリーガ3節ではカタルーニャ州を代表するバルセロナとバスク州を代表するアスレティック・ビルバオがカンプ・ノウで対戦。バルセロナはホームゲームにも関わらずカタルーニャ州旗をモチーフにした昨シーズンのセカンドユニフォームでプレー。アスレティック・ビルバオもバスクの州旗の基本色となる緑色のセカンドユニフォームでプレーした。まるでカタルーニャ対バスクといった風情だった。

12月28日にはそれぞれの地域を本拠地とするクラブチームではなく、選抜チーム同士が対戦する。独立意識が強い地域同士の対戦が、独立意識が強い地域で行われるのだ。チケットの売れ行きが好調なのも当然だ。しかし、なぜ本気でもないこの試合のチケットがこんなにも人気があるのか。目的がもはやスポーツ観戦でないことは明確だ。スポーツは政治と切り離して考えるべきだとよくいうが、それは理想に過ぎない。「クラブ以上の存在」というバルセロナのスローガンを見ても分かるように、政治とスポーツは切り離すことができない。

ページトップへ