カタルーニャの超人ランナー、自伝が欧州でベストセラーに

世界で誰よりも速くピレネー山脈、モンブラン、キリマンジャロを走り抜け、今もなお世界記録を更新し続ける24歳の“超人”ランナーの自伝が、欧州でベストセラーとなっている。著者は、サバデイ(バルセロナ)生まれのトレイルランナー、キリアン・ジョルネット。昨年3月にカタルーニャ語で出版された彼の自伝「Córrer o morir (走るか死ぬか)」は、発売わずか4カ月で第5刷とベストセラーを記録し、昨年7月にはスペイン語版、8月にはフランス語版が出版された。すでにイタリア、ポルトガル、ポーランド語にも翻訳され、スポーツ部門のベストセラーランキングにランクインしている。

北米、欧州では人気が上昇しつつあるものの、スペインでは依然としてマイナースポーツであるトレイルランニング(舗装されていない道を走る競技)。ロードレースでさえしんどいのに、わざわざ山の中を走るなんて…と首をかしげる人も多いことだろう。ところが、ピレネーの自然に囲まれて育ったキリアン少年が世界の頂点に立つまでのストーリーが一人称で語られる本書は、アスリートのみならず一般読者のハートもたちまち虜にしてしまった。美しく過酷な自然の中で“限界”に挑戦する著者の姿勢とたゆまぬ努力が、不況にあえぐ現代社会への“応援歌”として人々の心に響いたのかもしれない。

今をときめくFCバルセロナの主将カルレス・プジョル選手も、「克服へのインスピレーションと計り知れない精神力で、クレイジーにスポーツを愛する人間。この本を読んでそんな奴が本当にいることを知った」と推薦するこの自伝。読後、重い腰を上げて、無性に何かを成し遂げたくなる一冊だ。

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