さらなる飛躍を遂げるスペインの新幹線AVE

マドリード~バルセロナ間を走るスペインの新幹線「AVE」が、飛行機との差をつけるべく、新しい技術を導入している。

昨年、AVEのマドリード~バルセロナ間約660kmを通る路線は全体で250万人もの利用者を獲得している。一方、スペインの国営航空会社イベリア航空の乗客数は140万人だった。

あと約2ヶ月で開設4周年を迎える同路線のAVEだが、この機会に更なるサービス強化に務めている。それは「所要時間の短縮」である。これまでこの路線のノンストップ便は2時間38分かかっていた。しかし、AVEを運行しているRenfe(スペイン国鉄)は、12月11日から 所用時間を「8分間短縮」し、2時間30分になることを発表している。これは、マドリードとスペインの南部を走るセビージャ間、マラガ間の2路線とほぼ同じであるという。

短縮された理由は単純に走行速度を上げたためではない。AVEを操作する時の信号保安装置である、『ERTMS(ヨーロピアン・レール・トラフィック・マネージメント・システム)』の動作チューンアップによるものであるとのことだ。この新しい信号安全装置システムは、ちょうど今年の10月下旬からマドリードとバルセロナをつなぐ、いくつかの運行ダイヤに導入され、テストされているところであった。それが12月11日から拡大され、同路線の一日54ダイヤあるうちの16ダイヤ(マドリード、バルセロナ発共に8本ずつ)に導入され始めているのである。

マドリード~バルセロナ間の飛行機の所要時間は約1時間。しかしその前後の手続きや待ち時間などを考えると、その所要時間はAVEと変わらないか、中心地に行くのなら、むしろもっとかかってしまうだろう。一方AVEの場合、飛行機のように町の中心から離れた空港に行く手間もなく、マドリードとバルセロナの中心地を結んでいる。また運行の遅れの心配もほとんどない。 所要時間も短くなり、この大都市間を行き来する住民にとっても、観光客にとっても、さらに便利なものへとなるだろう。

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